<映画レポート>「ノッティングヒルの洋菓子店」
【ネタバレ分離】昨日観た映画、「ノッティングヒルの洋菓子店」の鑑賞レポートです。
もくじ
映画基本情報
タイトル
「ノッティングヒルの洋菓子店」
2020年製作/98分/G/イギリス/原題:Love Sarah
配給:アルバトロス・フィルム
キャスト
ミミ:セリア・イムリー/クラリッサ:シャノン・ターベット/イザベラ:シェリー・コン/マシュー:ルパート・ペンリー=ジョーンズ/フェリックス:ビル・パターソン
スタッフ
監督: エリザ・シュローダー /製作:ラヒータ・シャー/原案:エリザ・シュローダー,マハリア・リマー,ジェイク・ブランガー/脚本:ジェイク・ブランガー/撮影:アーロン・リード/美術:アナ・パパ/衣装:ジェフリー・マイケル/編集:ローラ・モンド,ジム・ハンプトン/音楽:エニス・ロトホフ
公式サイト
ノッティングヒルの洋菓子店
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)
映画.comリンク
作品解説
英ロンドン、ノッティングヒルに洋菓子店をオープンした3世代の女性たちと男性シェフの奮闘を、ロンドンの人気デリ「オットレンギ」の全面協力で描いた人間ドラマ。サラの娘クラリッサを「暮れ逢い」のシャノン・ターベット、母ミミを「マリーゴールド・ホテル」シリーズのセリア・イムリー、シェフのマシューを「シャーロット・グレイ」のルパート・ペンリー=ジョーンズがそれぞれ演じた。
あらすじ
名店で修行を積んだパティシエのサラと親友イザベラは、長年の夢だった自分たちの店をオープンすることに。そんな矢先、サラが突然の事故で他界。夢を諦めきれないイザベラとサラの娘クラリッサは、絶縁していたサラの母ミミも巻き込んで、パティシエ不在のまま開店に向けて動き出す。そんな彼女たちの前に、ミシュラン2つ星レストランで活躍する男性シェフ、マシューが現れる。かつて恋人だったサラから逃げた過去を持つ彼は、あることを償うためにパティシエに名乗りを上げたのだ。それぞれの思いを抱えながら、サラの夢をかなえるべく奮闘する4人だったが……。
満足度
(2/5.0点満点)
鑑賞直後のtweet
映画「ノッティングヒルの洋菓子店」
ロンドンの映像は綺麗。役者さんも魅力的だが。
葛藤が見えないまま行動したり。唐突で経緯不明なシーンとか。薄っぺらさの連続で辛い。ダンサーの設定要る?単にバレエシーン撮りたいだけ?的な。エンドロールの順番、おかしくないか?ナル入ってるの見える。 pic.twitter.com/npJFjLPZbv— てっくぱぱ (@from_techpapa) December 29, 2020
感想(ネタバレあり)
葛藤が見えないんだよなぁ、葛藤が。ロンドンの街並の映像は奇麗で、役者さんも魅力的なんだけれど。
「人間ドラマ」と銘打っているんだから、人間の葛藤が見えて欲しい。マシューの「実は娘なんじゃないか」とか、クラリッサの「母の無念を晴らす」「実はバレエも捨てられない」とか、ミミの「娘に出資していたら今頃は」とか、いろいろと葛藤があるだろうに。魅力的な役者さんが多くて、見ている分には飽きないのに、どこまでも葛藤が見えてこない。何悩んでいるのかよく分からない。その点が致命的で、私には何も伝わってこない。何に悩んでいるのか分からないので、シーンが唐突に思えたり、会話の意味がよく分からなかったりと、見ていてどんどんフラストが溜まる。そんな映画だった。
と、フラストが溜まってくると、普段は気にならないかもしれない事が、いろいろと見えてしまって、辛くなる。
クラリッサのバレエのシーンは奇麗だけれど、奇麗なバレエの画を入れたかったための、取ってつけた設定に見えてきた。母を亡くしたばかりなのに、その部分の感情が見えないまま、バレエのシーンが出てくるのにも違和感たっぷり。
途中までは「ケーキ屋さんを成功させるぞ」的な話なのに、「世界中のケーキを売ればいいんだ!」って割と短絡的なアイデアで店が繁盛するって、…いやいや、それほかの国のお菓子、簡単に作れると思ってる、という、大英帝国の上から目線が透けて見えるし。加えてスモールビジネスを始めるって大変なんだぞ…を映画で描く必要があるかは別にして、お金にお金に困っている感がない。住んでる家が豪華だし。何だか「ケーキ屋さんゴッコ」感から全く外に出ていない感。
日本人のTime Outの記者はどう見ても中国人だし。こういうのに鈍感な人が、「世界の国のお菓子」とかいう発想を思いつくんだろうなぁ、とか。
ラストのシーン。ミミが、一度は封をした手紙を読み出すのも、違和感。そこまでの描写が、娘の死に対してどう思っているかより、赤外線男との恋の方に焦点が当たっていて、手紙読んでも空々しく見える。
葛藤が見えないと、物語が「ああなって、こうなって」しか見えない。感情が見えれは気にならない事が次から次へと気になって、辛い時間だった。ラストのクレジットタイトル 。役者さんよりも先にスタッフのクレジットが、1人1人流れ出した。物語よりも、お洒落なアートとデザインで映画撮りました、っていう制作側のナルシズムな映画なのかな、と勝手な想像だとは知りつつそう思えてきてまって、更に辛くなってしまった。役者さんが魅力的じゃなければ、寝ていたのだけれどなぁ。
原題は「Love Sarah」。ちなみに「ノッティングヒル」っていう設定は、私が見た限りどこにも登場しない。「ノッティングヒルの恋人」の舞台。まあ、実際には知ってる人が見れば、ノッティングヒルなのかもしれないけれど、大きくロンドンの下町、っていう設定でもよい気もする。日本の配給会社も、苦労してこのタイトルつけた結果なんだろうなぁ。私は、ノッティングヒルの恋人は、見てないけれど。
役者さん、シェリー・コン、「ミストレス BBC版」にも出ていたけれど。なんだろ思わず目がいってしまう魅力。彼女を見ていると飽きない。ルパート・ペンリー=ジョーンズ、男が見ていてもカッコいいな。セリア・イムリーと、ビル・パターソンも好き。