<観劇レポート>東京演劇アンサンブル「ウィーンの森の物語」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 東京演劇アンサンブル「ウィーンの森の物語」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 東京演劇アンサンブル |
回 | ホルヴァート生誕120年記念公演 |
題 | ウィーンの森の物語 |
脚本 | エデン・フォン・ホルヴァート |
訳・ドラマトゥルク | 大塚直 |
演出 | 公家義徳 |
日時場所 | 2021/03/06(土)~2021/03/14(日) 東京芸術劇場アトリエウエスト(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
21世紀の初頭にあたって、東京演劇アンサンブルは人間の精神に問いかける演劇運動を展開しつづける。演劇が物語を語る道具ではなく、目的のための思想の伝達手段でもないことは、20世紀の演劇をつうじて確かめられたことであると、我々は考えている。
演劇は、作品をつくる過程のなかにこそ生まれる。作品行為こそ、人間の精神に揺さぶりをかけ、時代状況に切り込める。それは俳優が劇場の舞台に立ったとき観客とともに生み出すものである。そのような「瞬間」に生きる「俳優」に賭ける舞台は、まさに20世紀の日本の新劇運動の歩みを最も創造的に継続するものだ。
日本の演劇が、伝統演劇から現代演劇まで、ますます多様化しているなか、広渡常敏と東京演劇アンサンブルの仕事の個性は、際だった道を辿っている。商業主義の蔓延した日本の演劇界の流れのなかで、ひたすら自身の求めた演劇の理想を追求することが、多くの観客に支持され、劇団内部の活力の源泉ともなっていくことを創立以来実践し続けている。
21世紀、東京演劇アンサンブルが中心に据える仕事は、既に前世紀のものとして捨てられようとしている“革命”の精神をとらえ直すことである。変革への憧れと自身への戦いなしに人間はない。演劇の言葉が革命を語るのではなく、「言葉を語ることとその言葉を受け取る瞬間が革命そのものであるような演劇」が、本当に自由な人間の精神をつくりだし、人間が生きる状況をつくりだす。世界を動かすエネルギーとなるような演劇を、広渡常敏と東京演劇アンサンブルは求め続ける。
過去の観劇
- 2024年09月12日【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「ヤマモトさんはまだいる」
- 2024年03月29日【観劇メモ】東京演劇アンサンブル 「行ったり来たり」
- 2024年01月22日【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「消えた海賊」
- 2023年05月20日東京演劇アンサンブル「走れメロス」
- 2023年03月25日東京演劇アンサンブル「送りの夏」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
美しく青きドナウのほとり、ウィーンの下町の商店街。人形修理店の娘マリアンネは、隣の肉屋のオスカーとの婚約から逃げ、ゴロツキのアルフレートに一目惚れして駆け落ちする。堅い商売の肉屋に嫁入りすることを願っていた父(魔王)とは断絶。一年後、アルフレートとマリアンネの間には乳飲み子がおり、生活は困窮している。かつての情熱は消え去り、マリアンネはアルフレートの実家に息子を預けて働き口を探す。甥エーリヒの卒業祝いをしていたマリアンネの父は、キャバレーで半裸の踊り子として登場したマリアンネと再会し、激怒する。売春を拒否された腹いせに、マリアンネは客から金を盗んだと警察に突き出される。どん底のマリアンネを不憫に思った隣のタバコ屋のヴァレリーの計らいで、マリアンネと父はなんとか和解。オスカーもマリアンネを受け入れ、皆でアルフレートの実家に息子を迎えに行く。大団円と思いきや、息子は祖母によって殺害されていた。マリアンネの悲痛な叫びの中で幕。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年3月12日 18時30分〜 |
上演時間 | 170分(途中、10分休憩が2回) |
価格 | 3800円 全席指定 |
チケット購入方法
Confettiでチケットを予約、カード決済をしました。
セブンイレブンで予約番号を渡してチケットを発券しました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
若い方は少なく、ミドル~シニア層が目立ちました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・会話劇
観た直後のtweet
東京演劇アンサンブル「ウィーンの森の物語」160分、含10分休×2
難解、というか表面的な理解でいいのかな?と終始悩む。キリスト教観強い親子と愛の話。下敷きになる物語ありそう。台詞が様式的で頭に入ってこない時が何度かあった。
舞台表現としては印象が鮮烈。衣装と空間がしばらく頭に残りそう。 pic.twitter.com/9YSaIKIrDk— てっくぱぱ (@from_techpapa) March 12, 2021
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前の紹介記載の通り。親の意向を裏切って駆け落ちしたら、その男に捨てられて夜の世界のショーダンサーになり、その姿を親に目撃される話。
難解・・・という程、理解できない訳ではないのだけれど、どういう訳か難解だと感じる。お話の影に、何か別の意味を含んだものがあるような気がする。あるいは、下敷きになる物語が別にあって、その内容をトレースしているようにも。あるいは、全体が壮大な寓話として機能しているようにも、思える。その理解のはざまの中で、終始悩んでしまった、というのが本心。もう少し、スパッ、と理解出来ればいいのだが、と思う。
帰宅後、検索して調べてみると、作家、ホルヴァートは、ナチス時代を生きたハンガリーの作家。観ながら、ふと先日観た、「エーリッヒ・ケストナー ~消された名前~」などを思い出しながら観ていたが、物語の真意、みたいなものはよく分からなかった。ひょっとしたら、この物語を理解するには、前提知識が足りていなかったかもしれない。
使われる言葉が、ちょっと様式的というか、時代劇のようにまどろっこしく会話する部分があって、お話がスッと理解しにくい部分があった。もう少しシンプルに言ってくれればなぁ、とか思ってしまう。当然、翻訳劇であるから、実際そういうセリフなら仕方ない、という気もする。
内容よりも。舞台全体の作り方、空間の構成の仕方が面白かった。衣装は、ウレタンのスーツに、ビビットな色づかいで、服の画を描いているような衣装。なんだか絵本の世界のようにも見える。風船を浮かべたセットに、照明が当たるととても幻想的で奇麗。愛情表現、特にキスシーンが激しい。何だか観ていて、こちらがドキドキしてしまう。凸型の舞台に入れ替わり現れる演技の迫力がすごい。