<観劇レポート>エンニュイ 「『無表情な日常、感情的な毎秒』4月公演」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 エンニュイ「『無表情な日常、感情的な毎秒』4月公演」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | エンニュイ |
回 | Performance of the day 2021-2022 |
題 | 『無表情な日常、感情的な毎秒』4月公演 |
脚本 | 長谷川優貴 |
演出 | 長谷川優貴 |
日時場所 | 2021/04/24(土)~2021/04/25(日) 飯島商店(神奈川県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
エンニュイ
お笑いコンビ「クレオパトラ」長谷川優貴主宰の劇団メンバーの経歴は様々
2017 年3 月旗揚げ公演「ゼンイとギゼンの間で呼吸する世界」上演劇団の名付け親は又吉直樹氏(ピース)
曰く、「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語であり、物憂げな状態も含めて楽しむようなニュアンス」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
240年ぶりに時代が変わるらしい。
身体ではなく、魂で生きる時代。
フィルムのような時代を生きる酩酊した人々の話。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年4月24日 14時00分〜 |
上演時間 | 75分(途中休憩なし) |
価格 | 2300円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページからのリンクで、予約フォームで予約しました。
当日、受付で現金でお金を払いました。
客層・客席の様子
15名限定の客席。男女比は8:2くらい。
40代upの方が多かったように思います。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・不思議
・SF
・笑える
・シンプル
観た直後のtweet
エンニュイ「無表情な日常、感情的な毎秒」75分休無
古民家?での演劇。面白かった。夢十夜的な感じ?ふわふわした会話の中にピリッと異物が混ざってる感覚。シュールなコント風でもあり。不思議な時間にどっぷり浸かる。毎月上演してるとの事、脚本変わらない?別バージョン観てみたいな。オススメ! pic.twitter.com/sEL65D1sIm— てっくぱぱ (@from_techpapa) April 24, 2021
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
横須賀中央駅から近い場所にある、古民家?、閉店した商店?の二階の和室での演劇。久しぶりにこういう、劇場以外のスペースでの演劇を観た。
不思議な作品だった。4人+演奏者が、問わず語り。客入れしている時も、だべっている。その延長線上で、(でも明確に開始タイミングを示しつつ)始まる演劇。
会話が自然…というか、あまりにも普通。まるで、アドリブのような言葉が続く。それでいて、紡がれる物語は明確な方向性があって、芯を外さない。無駄が多いのに、無駄がない、という不思議。無駄な間とか、言い間違いが多いのに、ストレスがない。どの程度まで脚本化されているのか、というのが途中から気になる。現代口語劇…いわゆる「静かな演劇」とも、明確に作り方が違う。書いていて、どう表現したらいいのか、上手い言葉が見つからない。独特の不思議な空気感を持っている作品。古民家での、客との距離が近いから成立する演劇、手法かもしれない。
語られるのは、関連のない4つのエピソード。会社を辞めた友達の家に勇気出して行ってみたら、幽霊…というか友達の影がいた話。スピリチュアルにハマった同棲中の彼女に、くるぶしを蹴られる彼が、どうして蹴られるのか、ロールプレイして気が付く話。万引き犯は、未来から別の世界を見せに来た人だった話。毛のないキツネが、庭で喧嘩している話。東日本大震災で家は流されたけれど、ゲーセンで使うカードが入ったバッグが見つかる話。出演者自身のエピソードを語っているようにも見えるし、そういう"お話"のようにも感じる。とても曖昧な状況だからこそ、引き込まれる。
古民家。前は横須賀の、商店街の整備された裏通り。時に通りに降り立って、出演者たちが何か「実況見分的な説明」を見せ、客は一度立ち上がり、春の心地よい風を受けつつ、窓から一階の通りで叫ぶ出演者を眺める。晴天で良かった、と思いつつも、ライブ、客と演者の近さを感じる。
劇中、お好み焼きを作る。立ち込める、お好み焼きの匂い。…コロナ禍の演劇で、料理作る「匂い」の演出は、これまで他作で何度か観たけれど。その料理を、ディスタンスを保ちながら、食べてる風、「精神で食べてる」っていう、それまで以上の異常なディスタンスでの食事。ちょっとしたおちょくり方が面白かった。
特に好きだったエピソード。スピリチュアルにハマった同棲中の彼女の話は、どこかシュールな「コント」の要素、シティボーイズ・ライブの初期の、暗い短編作品に通じる感覚。彼氏彼女をロールプレイしながら、横で、彼女が観ているYouTubeの映像を再現しながら進むお話。…感想を書きながらまとめていたら、主宰の長谷川優貴は、お笑いコンビの一員、と知って納得。…それにしても、スピリチュアルの彼女の話は、客の想いと"彼"の見方が完全にズレていて、クスクス笑わずにはいられない。とりあえずそのスピリチュアルな彼女から離れろよ、的なツッコミしたくてたまらない。
『無表情な日常、感情的な毎秒』は、毎月一回公演している様子。聞き間違いでなければ、毎回同じ「脚本」で上演しているとの事。今回の4月公演は4ステージだけれど、それでも各回できっと差がありそうな内容で、回ごとの差が気になるのだけれど。毎月、毎回、同じ脚本で演じているとすると、別バージョンを観たくなる。そんな事を思った。