<観劇レポート>小松台東 「てげ最悪な男へ」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 小松台東「てげ最悪な男へ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 小松台東 |
回 | 2021年本公演 |
題 | てげ最悪な男へ |
脚本 | 松本哲也 |
演出 | 松本哲也 |
日時場所 | 2021/05/21(金)~2021/05/30(日) 三鷹市芸術文化センター星のホール(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
小松台東
Komatsudaihigashi松本哲也による演劇ユニットとして、
2010年12月第一回公演「ノンアルコールで吐く」より劇団活動を開始。2013年より劇団名を小松台東(こまつだいひがし)に変更。
全作品宮崎弁で上演されていることが特徴で、日常の中で起こる人間の機微を丁寧に、ユーモアを交えて描いています。
2019年より瓜生和成、今村裕次郎、佐藤こうじが劇団員として加入
過去の観劇
- 2022年11月07日小松台東「左手と右手」
- 2022年06月03日小松台東「シャンドレ」(2022年再演)
- 2021年09月03日小松台東「デンギョ-!」(2021年再演)
- 2020年11月07日小松台東 「シャンドレ」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
女のこれまでの恋愛は散々なものだった。
誰が見ても最悪な男とばかり付き合ってきた。女にだらしない、働かない、理不尽にキレる……。だけどもド田舎に暮らす限り楽しみなんて恋愛くらいしかない。だから女はまた恋をする。“次こそは”と期待を込めて。そうして新たに出会ったのは都会から越してきたという男。女は惹かれる。かつてないほど恋に溺れる。ようやく幸せを掴んだかに思えたその時、てげ最悪な男の姿が剥き出しになる。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年5月27日 14時00分〜 |
上演時間 | 120分(途中休憩なし) |
価格 | 3200円 全席自由 平日マチネ割引 |
チケット購入方法
劇団ホームページからのリンクで、予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。年齢層は様々でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・会話劇
・考えさせる
・シンプル
観た直後のtweet
小松台東「てげ最悪な男へ」120分含休10
面白かった。濃かった。劇団2度目。テーマというか、何が言いたいのか的なのは今回もストレートには掴めなかったけど。重い人間関係。人間のサガ。過去。そういったものが淡々と淡々と、味濃いめで沈澱して、濃かった。ダメ男を描くの上手いなぁ。超オススメ! pic.twitter.com/o4qrACWAgw— てっくぱぱ (@from_techpapa) May 27, 2021
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
感想が難しい。頭に浮かぶことをつらつらと、書き出してみると。
なんというか、とにかく重い…いや違う、…濃い。観ているときは複雑な人間関係に思えたけれど、見終わって思い返してみると、事情はあるも関係はそれ程複雑じゃない。要は、よくある人間関係を描いているのだけれど。それでも味の”濃ゆさ”が印象に残る。自然な会話で展開されるので、全ての事情や背景を説明をしていない。その事によって産み出される想像が、関係を複雑に見せているのかな、と思う。
作品を貫くテーマみたいなものは、実はよくわからない。前回観た「シャンドレ」の時もそうだった。むしろ、テーマ、なんていう事を考えている時点でナンセンスなのかな、と言う風に思う(テーマが無きゃいけないルールはない)。自然な会話から見えてくる人間関係から、感じろ、と迫ってくる。だからだろうか、涙なんて、全く出なかったのに。感動を呼び覚ます芝居と同じように、濃くて重い。演劇観たぞ、という感覚がある。
そこを頑張って、テーマ的なものを見つけようとしてみると。一つ目は「過去は変えられない」的なこと。引きずろうが、ポジティブに捉えようが、ネガティブに落ち込もうが、なんだろうが。その中で生きていくしかない、ということ。テーマ二つ目は「人は一人だ」的なこと。変えられない過去の中で、もがきながら一人。片寄あったとしても、結局は一人。その中で、生きているのが人間。テーマ三つ目は「男はどうしようもねえ」ということ。タイトルの通りだけれど。男はどうしようもねえ。・・・三つ目の視点は男の自分は「アイタタタ」だけれど、女性の視点から見るとどうなのか、気になったり。
ただ、芝居全体が、特にテーマで迫るわけでもなくて。観たものを、私の中で後付けで意味付しようとすると、そうだ、というだけで。ただただ濃い空間を描くだけであることは、変わりない。その意味で、微妙に焦点の違うた、いろんな解釈がある芝居なのかな、というのも思った。
ラストは、ある意味後味の悪い最悪の結末なのだけれど、冒頭の、文雄が純恋にマンガを渡す下りあたりでも感じた、違和感。姪を可愛がる以上の感情がありそうな雰囲気が再現される。ストレートにいうなら、気持ち悪い、のだけれど。…すると文雄は、純恋が30になるまで思い続けていたのか、なんて事を真剣に受け止めると、やり場のない感情も沸き起こってくる。きっと本人も言うように、男と女の関係、とはちょっと違う好意なのだろうけれど(無論、子供の頃に膝の上で…とは出てくるが、小児性愛とも違うのだろうけれど)、やり場のない感情が生々しすぎて、どう反応したものか…と途方に暮れて虚空を見上げるしかなかった。
気になった俳優さん。小園茉奈、冒頭の「恋しちゃった」高校生と、後半のくたびれかけてるけど前向き、な30代の違いがすごい。全然違う雰囲気なのに、説得力が半端ない。衣装はもちろんだけれど、何がここまで時間の経過を感じさせてくれるのか、食い入るように見てしまった。