<観劇レポート>六本木トリコロールシアター/サードステージ 「アカシアの雨が降る時」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 六本木トリコロールシアター/サードステージ「アカシアの雨が降る時」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 六本木トリコロールシアター/サードステージ |
題 | アカシアの雨が降る時 |
脚本 | 鴻上尚史 |
演出 | 鴻上尚史 |
日時場所 | 2021/05/15(土)~2021/06/13(日) 六本木トリコロールシアター(東京都) |
団体の紹介
特に団体紹介はありませんが、鴻上尚史作品を上演している、サードステージの公演の色合いが強いと思います。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
母が倒れた。病院に駆けつけると、母は自分のことを20歳の大学生だと思い込んでいた。そして、私の息子を、つまり、母の孫を自分の恋人だと信じて呼びかけた。母の恋人、つまり私の父と息子は、顔がよく似ていた。母と父は大学生の時に出会ったのだ。医者は、母は病気であり、母の妄想を否定してはいけないと告げた。息子は母の恋人として話し、私は恋人の父、つまりは私の祖父だと振る舞った。こんがらがった関係の中、母は大学に戻ると言い出した。70年代初頭、恋と革命が途方に暮れ始めるキャンパスへと。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年5月27日 19時00分〜 |
上演時間 | 120分(途中休憩なし) |
価格 | 6800円 全席指定 |
チケット購入方法
チケットぴあのサイト上で購入・クレジットカード決済しました。
(リセール品が値段同じで席が良かったのでそちらを購入)
ファミマのファミポートで受付番号を入力して、チケットを受け取りました。
客層・客席の様子
男女比は4:6くらい。
若い女性層と、男女混合のシニア層に分かれている感覚でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・にぎやか
・考えさせる
観た直後のtweet
トリコロールシアター
/サードステージ「アカシアの雨が降る時」120分休無
よかった。前半はちょっとかったるい感じあるも。後半は所々で涙。ベトナム反戦時代が現代に混じるから、スナフキンの手紙、僕たちの好きだった革命、ハルシオンデイズとか、その系譜を感じる。とても鴻上尚史らしい作品。 pic.twitter.com/4C5Ejw390l— てっくぱぱ (@from_techpapa) May 27, 2021
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
鴻上尚史の新作。認知症…(劇中では字幕付きで、ちゃんとした病名が出ていたけれど、忘れてしまった)で、それまで生きてきた記憶が欠落して自分が20歳だと認識する母、香寿美。長年母を遠ざけてきた息子、そして香寿美に恋人(後の香寿美の夫)に間違えられてしまう孫。3人の物語。香寿美が20歳の時は、ベトナム戦争に対する反対運動が盛んだったが、香寿美は反対運動には参加したかったのに、参加しなかった。自分を20歳だと誤解している香寿美は、20歳の自分として、反戦運動に参加しようとする。
鴻上作品らしく、色んな要素が組み込まれた作品。演劇のスタイルとしては、過去の鴻上作品に、とても似ているものがあるな、と感じるる3人芝居という点では、「ハルシオン・デイズ」によく似ている。また、60-70年代の、日本がまだアツかった時代を描いているという点では、「僕たちが好きだった革命」「スナフキンの手紙」「ファントム・ペイン」なんかも思い起こす。鴻上作品らしいモチーフと言えばそうなのだけれど、正直なところ、また同じような設定だな、というのも感じる。
むしろ私は、政治的な数々の問題より、問題母の青春時代を垣間見たら・・・、という物語として観たい。前半のベトナム戦争の説明のくだりは、ちょっと長く感じる。
ベトナム脱走兵をかくまう香寿美が(脱走兵は、息子がフリをして演じている)作ったハンバーグを食べているうちに、一瞬記憶を取り戻すシーンが印象的。家族だんらんとハンバーグの味で、蘇る母との記憶、祖母との記憶。さりげない会話の中で、突如、時間が現代に。その時の母の像と、20歳の母の像が、同じなのに、とても違う。20歳の香寿美はやりたい事に溢れていて、母の意外な面を知れた気もする、息子と孫。その20歳の青春を過ごした、70歳(?)の母と、もう一度話したいと感じる2人。その「今はすでにないもの」「触れることが出来ない事」に対する痛みが、切実で涙を流さざるを得なかった。(まさに「ファントム・ペイン」なのだろうけれど)
作品全体の構造はどこか、映画「レナードの朝」や「グッバイ・レーニン」といった作品を思い出す。村雨橋闘争を調べていたら、昨年「戦車闘争」という映画が公開されていた。この作品にインスパイアされているのかもしれない。