<観劇レポート>楽市楽座「うたうように」

#芝居,#楽市楽座

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 楽市楽座「うたうように」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名楽市楽座
うたうように
脚本長山現
演出長山現
日時場所2021/06/26(土)~2021/06/28(月)
横須賀 市役所前公園(神奈川県)
他全国を巡業

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

1991年5月に結成された楽市楽座は、2011年に20年目を迎えます。大阪を拠点に、長山現の作品を、主に野外劇として上演を行い、竹骨八角テントや、奥行きのある野外舞台、円形劇場での上演など、様々な試みをして参りました。
1998年からは、ドーム型テントの野外円形劇場を作成。5年後の2003年からは、舞台上のみ吹き抜けの野外円形劇場とし、ついに2009年には、屋根も壁もない完全な野外劇場にたどりつきました。

屋根も壁もなく、舞台の周囲にパイプ椅子を並べただけの野外円形劇場に至ったことで、劇は周囲の風景に完全に溶け込みました。そこには、長山現の考える「芸能としての野外劇」がリアリティを伴って出現し、東京・井の頭公園、大阪・扇町公園にて、とても深い味わいの劇だったという感想を多数頂き、19年の一つの成果を見ることができと確信致しました。

本来、様々な芸能は野外で行われていましたし、今もそれは息づいています。
劇場に比べると、不便なところもたくさんありますが、何かが降りてくるような、場所との一体感があります。もっと大げさに言えば、お客さんとも一体となって、宇宙や土地の精霊や神々たちとの交感さえも可能なのが、野外劇の魅力です。

2010年、そんな野外劇の魅力を、もっともっとたくさんの人に知って頂きたいという願いから、楽市楽座は、「野外劇団 楽市楽座」として、新たな冒険の旅に出ることに致しました。トラック「流星号」、ワゴン車「花と夢号」の2台に舞台装置と家財道具を詰め込んで、日本全国を旅して回っています。

楽市楽座

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

新作「うたうように」は、この世界がどない始まったんかいう、大昔話。

遠い遠い大昔、闇も光もない中で、「うた」だけが響いておったそうな。
そのうたを聞こうと集まった闇が石になり、残った光が火になった。
二匹ともどっか年寄りくさかったが、そこに水と風がやってきて…。
バカバカしくも、心暖まる、ふしぎな現代神楽劇。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年6月26日
19時00分〜
上演時間約100分(途中休憩なし)
価格無料 投げ銭制 全席自由

チケット購入方法

直接、会場に行くだけです。
スケジュールは劇団ホームページに記載されています。

客層・客席の様子

男女比は5:5。
子供からお年寄りまで。様々です。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・野外劇
・笑える
・ハッピー

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

私自身は同劇団、3度目の観劇。1度目は、大阪在住の頃に扇町公園で「鏡池物語」と「金魚姫と蛇ダンディー」を観た(確か2010年頃だったように記憶。途中から、めっちゃ雨が降ってきて傘さしながら観た記憶)。2度目が、2016年ころに井の頭公園で観た「ヨイショ、コラショ」。そして今回で3度目の観劇。

楽市楽座は、親子一座の劇団。作・演出・出演の長山現(父)、女優の佐野キリコ(母)、萌(娘)の劇団。2010年の頃は、まだ萌は幼かったのだけれども。2016年に観た時にはもう大人になっていて、今回は夫(娘婿)の佑之助も加わり、4人の劇団に。

特設舞台で野外劇を上演しながら全国を回る。水の上に浮いた、ゆっくり回転する円系の舞台が特徴。今回は、小雨が降るのが予想されていたのか、簡易のテントが組まれていた。また、基本は生演奏による音楽劇。ギター、バイオリン、ベースその他、4人の出演者が音楽を奏でながら物語が進む、いわば「ミュージカル」なのも特徴。無料で観ることができるが、配られる折り紙にお金を包んで、投げ銭をするのも特徴。ここぞという時、役者さんが「投げ銭チャーンス」と煽ってくるのも面白い。

毎年、巡業予定をチェックしているのだけれど、東京での公演は北部での公演が多くて、スケジュールが合わない事が続いていた。今回は、私が知っている限りでははじめての神奈川に来る。やっと神奈川・横須賀に来てくれた。嬉しい。

前回観た「ヨイショ、コラショ」が、ディスコミュニケーションのコミュニケーションを、秀逸な言葉回しで描いていて、その記憶が鮮明で、そんな類の表現を、どこか期待していたのかもしれない。今回はごくごく、原始的な、むかし話のお話。その意味で、ちょっと物足りなさを感じたりしたものの。

地球の創世を、どこか擬人化したコミカルなキャラクターで演じる、神話のような、昔話。石と火と水と風が、地球を、世界を作っていく。ラストに向かって、段々と地球が、世界が出来上がってく様は、根源的な感情を揺さぶる表現で、ジーンと感じ入ってしまう。それは地球の創生だったり、家族の創生だったりが背後にある。壮大な物語に、身近なものを見る不思議。

「こんな嵐の日には、(外に出ないで)昔の事を、我々がどこから来たのか、昔話で思い出しましょう。」というメッセージ。「コロナ」なんていう、野暮な言葉は、劇中全く出てこない芝居。でも、表現するとは何なのか、とか、我々は何のために生きているのか、とか、今だからこそ、こんな時代だからこそ立ち戻ろうという思い。そして、森羅万象に対する感謝。そんな事に思いを馳せる。

地球が出来上がっていく過程で、円系の舞台に、花が咲き、鳥が飛び、森ができる(長山現の頭に木が映える)。とてもコミカルで、かつ、冷静に観てしまうと取るに足らない小道具が、この芝居のラストだと壮大なものに見えてくる。舞台って本当に不思議だなぁ、っていう事を思わずにはいられなかった。

役者さん。佐野キリコの、身のこなしの軽やかさ、芯が強いのにどこか妖艶な舞が印象に残るのは変わらずも。風のピュウピュウを演じる佑之助のダイナミックさがとても心地よい。純粋にカッコイイ。どこか、保村大和を思い起こさせる。一座に溶け込んでいるのを感じ。萌は、本当に大きくなったなぁ。最初見た時は小学生?中学生?くらいで、舞台に度胸を絞り出して出てるのを観ている側が感じたのをうっすら覚えているのだけれど。成長というか、時間の経過に、純粋に驚きと嬉しさを覚えた。


舞台#芝居,#楽市楽座