<観劇レポート>鵺的(ぬえてき)「夜会行」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 鵺的(ぬえてき)「夜会行」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 鵺的(ぬえてき) |
回 | 鵺的第14回公演 |
題 | 夜会行 |
脚本 | 高木登 |
演出 | 寺十吾(tsumazuki no ishi) |
日時場所 | 2021/07/01(木)~2021/07/07(水) サンモールスタジオ(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
鵺的とは
鵺的(ぬえてき)は脚本家・高木登によるオリジナル作品を上演することを目的とした演劇ユニットです。 硬質な物語構造をそなえた劇作を通じて、アクチュアルな題材を悪夢的に描くことを特徴としています。 現代社会の歪み、そこを生きる人間の姿、新しい人間関係の在り様など「いま、このとき」を生きる表現者 として描くべきことごとを、慎重に大胆に、鵺的は追究していきます。主宰・脚本家 高木 登
事前に分かるストーリーは?
まとまった記載をネット上には見つけられませんでした。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年7月1日 19時00分〜 |
上演時間 | 75分(途中休憩なし) |
価格 | 5000円 全席指定 |
チケット購入方法
ローチケで予約・決済しました。
Loppiで発券しました。
客層・客席の様子
男女比は8:2。
年齢層は30代upを中心に様々な年齢の人がいました。若い人は少な目かも。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・同性愛
・シリアス
・考えさせる
観た直後のtweet
鵺的「夜会行」75分休無
ガチの会話劇。面白かったけど、なんだかすぐに言葉にならなそう。女性達のある特徴が大事な要素の物語のはずが、途中からその特徴とは無関係な話に思えてきた。そう考えると実はよくある物語な気もするのだけれど。それにしても、会話の重さがすごかった。オススメ! pic.twitter.com/YzxELpUTNI— てっくぱぱ (@from_techpapa) July 1, 2021
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
飛ぶ鳥を落とす勢いの「鵺的」。前回の「バロック」でチケット取れず、悔しい思いをしたので、今回は事前に早々に、予定気にせず初日を予約。幸い、他の予定は避けれて、叶った観劇。
ストレートな会話劇。「レズビアン」あるいは「レズ」という言葉は、劇中(おそらく意図的に避けて)全く出てこないのだけれど、同姓愛の女性4人が、コロナ禍のあけた時期に、誕生日会のために部屋の一室に集まる。4人のうち二人は、カップル。1人が、最近付き合いだした女性をパーティに連れてくるところから始まる物語。
同性愛の人々が抱える問題を、短い時間で鮮やかに切り取る感覚。途中、会話の様でいて実はちょっと説明っぽい下りは気になったものの、同性愛が抱える「生きづらさ」を描く。・・・ただ、これだけだと、鵺的への期待からすると、ちょっと物足りない。会話を折り重ねて折り重ねて、とても緻密な演劇だけれど、でも結局は割とよくある「生きづらさ」の物語のように思う。
ただ不思議だったのは。後半、理子の妊娠と元彼氏の話が明らかになるにつれて、あれ、この物語って「同性愛」とは関係ない物語じゃなかったのかな、という錯覚に襲われる。気が付くと、理子の彼女、愛(ハマカワフミエ)も、誕生日を祝われるのにどこか自己肯定の低い笑里(福永マリカ)も、こんな「男」いるような気がする・・・と思うようになってきた。
自分の好きな「怪獣」をプレゼントに贈るのがとても子供っぽくて、あーこんな「男」いるいる、と思ったり。自己肯定が低くて、どこか「ダメ男」を連想させる笑里は、劇中特に何も語られないけれど精神的に病んでいるように感じるし。元々は、同性愛を軸にしていたはずなのに、気が付くとそこからは(意図的に)ズレた話になっているように感じる。この、同性愛でも異性愛でもある、妙な類似点って、一体どういう事なのかな。・・・あるいは、単にこの同性愛の描き方が、リアルではない、架空のものかもしれない(私には全く経験のない世界だし、判断がつかない)。とはいえ、そこは緻密に積み重ねる会話劇だからか、リアルな重い実感、説得力がある。
そんな、妙な違和感の糸口というか。同性愛だろうと異性愛だろうと、愛憎の面は実は何も変わらない、というメッセージなのか。そんな事を思いながらの観劇だった。
ラストの解釈にちょっと悩む。劇中、笑里は、明らかにベランダの外を意識していたように思うし。ただ、そこまで悲観するのも、考え過ぎなのかな、とも思い。
気になった役者さん。青山祥子、以前、桃尻犬「俺ずっと光ってるボーイ、健之助」で拝見してものすごく気になっていた役者さん。芯の強さとか、生い立ちとか、そんな氷山の下が想像できる人物像がとても鮮明で、やはり印象的。笠島智、なんかこう、ほんわかした、あるいはほんわかを装っている雰囲気がとてもいい。福永マリカ、「悪魔を汚せ」とは全く違って、最初は同じ人かとなんども見てしまった。変容ぶりがすごい。目の彫に、どこかやつれている生活がにじみ出ていた。
ベランダの描写が好き。わしの角度からは、ベランダの外側が見えなかったのだけれど、本当にベランダがあるようだった。