<観劇レポート>たすいち「レプリカシグナル」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 たすいち「レプリカシグナル」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | たすいち |
題 | レプリカシグナル |
脚本 | 目崎剛 |
演出 | 目崎剛 |
日時場所 | 2021/10/06(水)~2021/10/10(日) シアター711(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
カムカムミニキーナ、ポツドール等を輩出した
早稲田大学演劇倶楽部から、
2007年に目崎剛が旗揚げしたユニット。『ありえない』設定を『ありえそう』に見せる
屁理屈でちょっとファンタジーな舞台を創る。
文学でも映像でもなく演劇でしかできないことを追求し、
笑って泣けて考えられるエンターテイメントを志向する。2011年1月より12ヶ月連続公演を敢行。
2012年4月には吉祥寺シアターで本公演を行った。
2015年、「劇王東京Ⅱ」にて、二代目東京劇王となる。
またその後、神奈川かもめ短編演劇祭で、短編演劇日本一(優勝は韓国だったため)となる。
過去の観劇
- 2024年02月09日 【観劇メモ】たすいち 「たてほこ」
- 2022年09月22日 劇団肋骨蜜柑同好会「田瓶奇譚集」
- 2020年02月21日 たすいち「サイキックバレンタイン」
- 2019年12月05日 たすいち「足がなくて不安」
- 2019年02月16日 塩原俊之自主企画興行「AFTER塩原JUNCTION」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
【あらすじ】
見える。聞こえる。話せる。そして触れる。
あの 春の/夏の/秋の/冬の ここはみんながいた教室だ。VR SNS「replica」の中のここはスクールゾーン。
あの日々のように、もしくはあの日々があったかのように過ごすユーザー達。
そこで出会った一人の女が問いかける。
「ねえ、私を知らない?」…死んだ人間のアカウントが動き出した。
不正ログイン?でも、その振る舞いは、まるで…
本物を模った仮想現実空間で、いないあなたは何を発信しているの?
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年10月7日 14時00分〜 |
上演時間 | 105分(途中休憩なし) |
価格 | 4300円 全席指定 |
チケット購入方法
劇団ホームページから、CoRichのシステムで予約しました。
当日、現金でお金を支払い、席を指定された券をもらいました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
男性は40代upが目立ち、女性は様々な年齢の方がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・SF
・考えさせる
観た直後のtweet
たすいち「レプリカシグナル」105分休無
演出、大迫力で凄い。お話は、上手く理解できないというか、付加情報が多すぎで処理できず、な感覚。ちゃんと話を追えてないのにテーマは理解出来て。でも切り口が一般化しすぎてる感。80年代から演劇で語られてる事だし、みんなOK!的な落しじゃ辛いかなと。 pic.twitter.com/1nOZXcDMKU— てっくぱぱ (@from_techpapa) October 7, 2021
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
高校の頃から付き合って、大学も一緒だった彼女が、交通事故で死んでしまった。VR:バーチャルリアリティのSNSには、彼女のアカウントが残っている。日常とは別の日常を体験できるVR-SNSの世界。そこでは「私の事を知っていますか?」と問いかけてくる彼女のアカウントの存在が、都市伝説のようにささやかれていた…。死んでしまった人を、VR-SNSの世界で生かすことは正しい事なのか?、死んでしまった人の幻想をVR-SNSの中で抱えて生きていく事は悪い事なのか。・・・そんな事を描いた作品。
シアター711での上演。冒頭のプロジェクターとモニターを利用したシーンの演出が凄かった。711の奥まった空間をうまく利用して語られる、芝居冒頭の導入部分。そして、「物語は、望むと望まないとにかかわらず、唐突に始まり、唐突に終わる」…という台詞。ここを見てる時は「おおおっ、いい感じ」と期待を膨らませてしまったのだけれど。
VR-SNSの世界。世界に出たり入ったり。あるいは、別の人間がアカウントを移動して会話する…とかが次から次へと続いて、お話の焦点が定まらない感覚。いろんな名前や言葉が出てきて、あちこち移動するんだけれども、その内容に途中からついて行けなくなってしまった。単純に情報が多すぎる。受け止めきれなくて、頭痛がしてきてしまった。
といえ、細かな内容を追い切らなくても、全体のテーマを追う事は出来た。架空の世界で誰かを「生かす事」に対する気持ち悪さをどう考えるか・・・とか。思い出や妄想の中で誰かを大事にするのは悪なのか・・・と言った事。VR-SNSというイマドキの題材が出てくるけれど、それが本質ではないようにも思えてくる。語られる結論が、「生身の人間も、架空の世界で生き続ける人間も、どちらも手放したくない」だとすると…、んー、そりゃそうだろうよ、としか言えずに当惑してしまう。「みんな違ってみんないい」みたいな、ありきたりな結論に落ち込んでしまう。
この問いかけ自体は、1980年代頃から繰り返し演劇で描かれてきた事。そこに普遍的な結論なんて、ない。そもそも、演劇だって一つのVRな訳だから。だからこそ、個人的な事柄に落していかないと、普遍化し過ぎて詰まらないものになってしまう。VRを扱った過去の作品に思いを馳せながら、もっと何かにフォーカスした物語が観たいな・・・と思った。