<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「ラビット・ホール」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 KAAT神奈川芸術劇場「ラビット・ホール」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | KAAT神奈川芸術劇場 |
回 | KAAT神奈川芸術劇場プロデュース |
題 | ラビット・ホール |
脚本 | デヴィッド・リンゼイ=アベアー |
上演台本 | 篠﨑絵里子 |
演出 | 小山ゆうな |
日時場所 | 2022/02/18(金)~2022/03/06(日) 神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県) |
団体の紹介
横浜にある劇場です。
モノをつくる 芸術の創造
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。
人をつくる 人材の育成
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。
まちをつくる 賑わいの創出
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻。
彼らは8カ月前、4歳だった一人息子のダニーを交通事故で失いました。ダニーとの思い出を大切にしながら前に進もうとする夫のハウイー。それに対し、妻のベッカは家の中にあるなき息子の面影に心乱されます。そのような時にベッカは、妹イジーから突然の妊娠報告を受け戸惑い、母のナットからは悲しみ方を窘められ、次第に周囲に強く当たっていきます。お互いに感じている痛みは同じはずなのに、夫婦・家族の関係は少しずつ綻び始めていました。
ある日、夫妻の家にダニーを車で轢いたジェイソンから手紙が届きます。会いたいというジェイソンの行動に動揺を隠せないハウイーですが、ベッカは彼に会うことを決意します。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年2月25日 14時00分〜 |
上演時間 | 150分(休憩15分を含む) |
価格 | 6800円 全席指定 |
チケット購入方法
チケットかながわで予約・決済しました。
予約番号バーコードを、セブンイレブンで提示して受け取りました。
客層・客席の様子
男女比は3:7くらい。
平日マチネだからか、40代upの女性が目立ちました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・シリアス
・泣ける
・考えさせる
観た直後のtweet
KAAT神奈川芸術劇場「ラビット・ホール」150分含休15
アメリカの作家のストレートプレイ。映画化されてる?前半エラくスロースタートで2回船を漕いで、1幕は不満だったけど。後半はよかった。喪失感の埋め合わせ方の違い…というのか。ラスト近く、少年との対話シーンが記憶に残る。木野花さん上手い。 pic.twitter.com/meupvSTcsx— てっくぱぱ (@from_techpapa) February 25, 2022
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは事前紹介の通り。車の事故で4歳の息子を亡くした妻ベッカ。そんな中、妹は軽い恋愛で妊娠。母は、自分の息子を亡くした時の価値観で迫ってくる。そして夫は、忘れないために息子の面影の品を残そうとするが、ベッカは思い出すものを側に置いておくことが耐えられず、処分したとと思う事で、夫と想いがすれ違っていく。そんな中、事故を起こした高校生のが、会いたいと訪ねてくる・・・と、強引にまとめるとこんなお話。
海外作のストレートプレイにありがちだけれど、前半の展開・・・物語の核心が展開するまでの時間が、ちょっと長い。少し眠かったのか、2回くらい船を漕いで、あーこれはダメかな、なんて思いが頭をよる。母と娘との対立が出てくるのが、開演後49分。思わず時計を見てしまった。それ以降の展開は面白く、49分で示された伏線的なモチーフも回収しつつ進む物語。あー、最終的にはいいお話なのだから、開演30分くらいでひと盛り上がりしてくれればなぁ、というのが、終演後の率直な印象。
夫と妻。息子を喪失してしまった事に対する、穴埋めの方法が、全く逆。そこに母の「穴埋めに対する別の想い」も加わってしまうので、イライラする妻。家を売りに出すことを決めた時、傍からみると、若干傍若無人に迫ってくる、事故を起こした高校生。その傍若無人さが、どこか妻の救いにもなっているのが、何とも皮肉というか、面白い。彼の作品に登場する「ラビット・ホール」…違う世界に通じる穴に逃げ込む…って、真正面から受け止めるとちょっと怖い面もあるけれど。
結局、その人の苦しみは、その人にしか分からない。寄り添う…という感覚よりも、違いを認める方がいいのかもしれない。母が息子を亡くした時、寄り添う…と言いつつ、何の力にもならなかった友人に、母が啖呵を切ったのをベッカに話すシーンが、印象的。いずれ、その重さに耐えられるようになる。ポケットの小石のようになる。決して無くなりはしないけれど…。
ふと、少し前に観た「逢いにいくの、雨だけど」を思い出す。
役者さん。木野花、久しぶりに拝見したけれど、やっぱり上手いなぁ。思わず目で追ってしまうのと。客からは、ちょっとピントがずれた罪悪感を背負っているように見える高校生、新原泰佑が印象に残った。