<観劇レポート>桐朋学園芸術短期大学演劇専攻「RENT」

#芝居,#桐朋学園芸術短期大学

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 桐朋学園芸術短期大学演劇専攻「RENT」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名桐朋学園芸術短期大学演劇専攻
演劇専攻55期卒業公演(ミュージカルコース) LIVE MUSICAL
RENT
脚本Jonathan Larson
演出信太美奈
日時場所2022/02/27(日)~2022/02/28(月)
俳優座劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

芸術系の短大の、卒業発表会です。

日本でただひとつの実践型芸術短期大学として、「桐朋学園芸術短期大学」は音楽専攻、演劇専攻の2 専攻をもって、芸術文化の創造と発展に寄与しうる人材の育成を目標としています。
本学は、桐朋学園大学短期大学部開設から57年におよぶ活動を礎に、芸術創造の場としての教育活動にもますます磨きをかけています。
少人数教育のもと、ひとりひとりを勉学の大切な主人公と捉え、その可能性を引き出し、個の能力を伸ばすとともに集団で創りあげる力を養います。教育成果を公開する場を設け、社会と直に触れ合う活発な大学となることを目指しています。

桐朋学園芸術短期大学演劇専攻

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

舞台は1989年12月24日クリスマスイブのN.Y.イーストビレッジ。そこには家賃「Rent」を払うことも出来ない貧しいアーティスト達がいた。エイズ、ドラッグ、同性愛、友の死など、様々な問題を抱えながら愛と友情を信じ、1月1日夢に向かいながら生き抜いている若者達。
出会い、別れ、孤独、葛藤、そして2度目のクリスマスイブ…
さて、有名なナンバー「Seasons of love」の歌詞のように、あなたはあなたの1年をどう数えますか?

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年2月28日
15時30分〜
上演時間170分(途中休憩15分を含む)
価格1500円 全席自由

チケット購入方法

発表会のTwitterアカウントから、予約ページに進んで予約しました。
当日、受付で現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
卒業制作の公演ですので、生徒の保護者や、学生が多かったです。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・ミュージカル

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

芸術系の専門学校や大学の発表会が、ちょっと気になる最近。Twitterのフォロワーさんから「RENT」があるよっていうのを教えてもらったので、気になって予約。ミュージカル「RENT」。私自身、来日した公演はこれまで2度観ていて、その後、クリス・コロンバス監督で映画化された のを、何十回も見ている。コロナ禍で延期になってしまった2020年の来日公演も、予約してた。要はお気に入りの作品。

楽しそうだな、と軽い気持ちで予約したものの、その後、ふと思う。短大生が卒業制作で「RENT」?。そこそこ長い、歌は多めセリフは少な目のミュージカルだし、やり切れるのか。…いや、きっと、名シーンの抜粋とか、歌のナンバーだけ繋げた作品とか、短縮版じゃないかな、と勝手に思っていた。その後、上演時間が約150分と聞いて…フルバージョンだな、と知る。まじか(結局、上演時間は170分)。大丈夫かな…残念なRENTだったらどうしよう…と、と一抹の不安を抱えて劇場に向かったけど。いやはや、予想を裏切られた。完璧に、ほんまもんの「RENT」。今まで観た、来日キャストよりも、よっぽど感情のうねりが激しく、迫ってくる。卒業制作でいろいろと粗い部分は見え隠れするものの、この作品にマッチした出演者たちによる、最高のRENTだった。

久しぶりに見た舞台版の「RENT」。(そういえば「RENT Live」っていう舞台中継版も、少し前に観たな)改めて思ったのは、やっぱりこのミュージカルは、ストーリーがとても分かり難いよな、という事。基本は、鉄パイプで組まれた同じセット展開で、机を並べ替えたりするだけで進むので、どの場面で行われているやり取りなのか、よく分からなくなってしまう事が多い。例えば「ライフ・サポート」の場面は、あれだけで伝わるのかな、なんて事を思う。幸い、映画版を、ディスクが擦り切れるほど見ているので、お話の展開は私にはよく分かるのだけれど、15年程前に観た「RENT」の歯切れの悪い部分を、一緒に観ている人たちが味わっているんじゃないかなぁ、なんて事を心配してしまう。

音楽の演奏が、抜群にいい。終演後パンフレットを見る限り、演奏はどうやらプロのミュージシャンで、学生が演奏している訳では無い様子。既に何度も何度も聴き込んでいる曲ばかりだけに、ちょっとの変化も気になってしまうけど、特徴はあるものの、オリジナルを損なわずにうまく乗せてくれた感触。

英語と日本語の歌詞が、概ね半々くらいに混ぜられているのも好感。「RENT」は特に、音のリズムが崩れると、歌としてはイマイチになりそうな曲がたくさんあるので、出来れば日本語訳して欲しくないのだけれど、それだと物語を追えない人が出てきてしまう。大切な言葉はしっかりと伝えつつ、英語の歌詞の良さも取り入れているのがいい。日本でも、何度か日本版プロダクションが制作されているけれど(私はいずれも観ていない)これは、どういう訳だったのだろう、というのが気になった。

私の観た回は、主役の一部がダブルキャストで、1幕と2幕で、同じ役を別の人が演じる。観てる時はその事を知らなくて、2幕の最初はちょっと戸惑った。馴染んでくると、別のテイストの役者さんが観れるのは嬉しい事なのかな、と思ったり。気になった役者さん。梅沢尊信のエンジェルと、金子拓玖音のコリンズ。エンジェル、「Today 4 U」のあの軽快さがないと、物語が始まらないし。「I’ll Cover You 」が最高。Repriseでコリンズが歌い上げるのは、本当にすごくて、鳥肌で涙が出てきた。サックスを入れてたのも良かった。岩瀬凪紗のモーリーンの「Over The Moon」エコーの後の顔の動きも好き。高矢蒼士のマーク、1幕2幕でテイストが違うミミの、小林万悠夏、富村柚子も印象に残る。あと「La Vie Boheme」の、全体のグルーブ感かとにかく最高で、まだ1幕なのに涙出てきてしまった。

とても印象に残った作品。他のキャストバージョンも観たかったなぁ。

ご卒業、おめでとうございます。 
...and Thank You, Jonathan Larson.