<観劇レポート>一般社団法人横浜若葉町計画「甘い傷」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 一般社団法人横浜若葉町計画「甘い傷」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 一般社団法人横浜若葉町計画 |
題 | 甘い傷 |
脚本 | 平田俊子 |
演出 | 塩野谷正幸 |
日時場所 | 2022/03/03(木)~2022/03/06(日) WAKABACHOWHARF若葉町ウォーフ(神奈川県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
若葉町ウォーフは、港町ヨコハマの下町、繁華街伊勢崎町商店街と大岡川にはさまれた築60年の小さなビルを改装した、劇場、スタジオ、宿泊所が一体となった民間アートセンターです。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
「ニワトリぐらいで驚いちゃいけないよ。昔はもっとすごいものが流れてきたんだから。」
中年、老年七人衆が疲労と倦怠をにじませつつ築く落とし穴的世界。乞うご期待。そして要注意。 待望の再々再演!!!!!!!!!
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今回が再々再演となる「甘い傷」。20年ほど前に書いた戯曲をこれほど何度も上演してもらえるなんて、作者としてはうれしい限りです。出演者は大きく変わり、これまで長男役だった龍昇さんが今回は老人役を演じます。再々再演でありながら、新たな「甘い傷」が生まれるはずです。 平田俊子
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年3月6日 15時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
CoRichのページから予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
様々な年代のお客さんがいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・静か
・考えさせる
観た直後のtweet
若葉町計画「甘い傷」
若葉町ウォーフプロデュース公演。うーん面白かった!静かな静かなど真ん中会話劇。世界の中にどっぷりはまりこんだ。ここまで自然なのに止まってるのが不自然だなぁ、って思ったら最後ちゃんと動き出した。流れていくのか、流されていくのか。超オススメ、も楽日は満席らしい。 pic.twitter.com/9uhqMZ8KvY— てっくぱぱ (@from_techpapa) March 5, 2022
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
東京から遠く離れた、川沿いにある田舎町。父親は亡く、老いた母が住む家。兄は、居間に布団を敷いて、毎日寝て暮らす。弟は妻と実家住んでるが、幼馴染の飲み屋の女に言い寄られているようで、そこで知り合った相手を、家に泊めるところから始まる。町の土建屋と、近くに住む、妻に先立たれた男も交えた、静かな会話劇。
作品初見。観てから調べて知ったのだけれど、2001年の岸田國士戯曲賞候補作品。約20年前の戯曲。舞台セットは、畳敷きの古い居間が、大きな川の中にぽっかり浮かんでいる。実際、舞台には水がはられて、時折その上を石づたいに歩いたり、素足で中に入ったりする。老いた母と、弟の嫁。女性が2人登場するが、どちらも男性によって演じられる。
淡々と描かれる、どうにもならない人々。兄は、どこか達観しつつも、人生に絶望感を背負っているように見える。後半になると、会社でのストレスで、ある日突然休職したことが分かる。何故か泊まる事になった「東京から来た男」は、この町で働き始めるも、どこか居心地が悪そう。弟の嫁は、弟の浮気を疑って、東京から来た男を試してみるも、結局は家を飛び出す。母は、息子たちが「よどんで」いるのを嘆きつつ、最後には死んでしまう。
母の死をきっかけに、舞台中央の振り子時計が動き出す。舞台中に出される食事も本物で、ここまで自然体に近い舞台なのに、柱時計が止まってるのが、不自然だなと思っていた。それが、母の死で動き出す。流れ出す時間。・・・川に流されているのか、流れているのか。あるいは舞台セットのように、よどんだ池のような状態なのか。やり場のない思い。そして突然流れ出す、川の水。人生の流れ。そんな流れに翻弄されながら、でも静かに生きている人々の息づかいが聞こえてくるような、そんな舞台だった。
冒頭、女性役を男性を演じるのはどうしてだろう?と疑問に思うも、途中から、むしろそれが必然のように、元々それしかあり得なかったように感じる。終演後パンフレットを読むと、ト書きにそのような指定がなされている、との事。作者の意図として、男性が演じている。作者は女性なのに、どこか、男性視点の舞台。あるいは男からは、女は理解できないもの、として見ているようにも思える。あるいは、女性っぽさが物語の本質ではないよ、と告げられているようにも感じる(弟の妻を若い女性が演じると、その女優ばっかり見ちゃう気がする)。作者の本意は分からないけれど、それがそもそも正しい状況描写、と納得してしまう説得力が、すごいと思った。