<観劇レポート>DULL-COLORED POP「プルーフ/証明」

#芝居,#DULL-COLORED POP

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 DULL-COLORED POP「プルーフ/証明」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名DULL-COLORED POP
第24回本公演
プルーフ/証明
脚本デヴィッド・オーバーン
演出谷賢一
日時場所2022/03/02(水)~2022/03/13(日)
王子小劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2005年、主宰・谷賢一が旗揚げ。日英の大学で学んだ演劇学を基礎に置き、古今東西の演劇的手法を積極的に摂取。「演劇だから何でもできる!」と絶叫しながら、「演劇でしかできないこと」を追求し続ける純粋演劇集団。
DULL-COLORED POP3つの誓い:
純粋演劇 演劇至上主義に基づき、純粋に演劇的な純粋演劇を作り続ける。
研究・伝播・接続 書物や実地に学んで得た知識・技術を広く伝え、仲間を増やす。
観客関係の再検討 演る側/観る側という旧来の観客との関係を見直し、「体験としての演劇」を創出する。
劇団名の読み方は「だるからーど・ぽっぷ」です。

DULL-COLORED POP

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

シカゴ、冬。天才数学者・ロバートは103冊のノートを遺して世を去った。家に引きこもり人を寄せ付けようとしない次女キャサリンと、ロバートの研究を引き継ごうと家を訪れる青年ハル、キャサリンの身を案じる長女クレア。3人はやがて1冊の「証明」が書かれたノートを発見する。「数学の歴史が始まって以来、あらゆる数学者たちがずっと証明しようとしてきた」「おそらく不可能だろうと思われていた」証明。ロバート最後の偉業と思われるその「証明」について、キャサリンが驚愕の事実を打ち明ける。この証明は……。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年3月9日
19時00分〜
キャストAキャスト
上演時間140分(途中休憩10分を含む)
価格3500円 全席指定

チケット購入方法

Passmarketで予約、決済しました。
当日、Passmarket上に記載された整理番号順に入場しました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。
様々な年代のお客さんがいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

事前記載のストーリーに補足すると。次女キャサリンは、とにかくカンシャクが激しくて、精神的な問題を抱えている様子。父に影響を受けたのか、かつては、近くの大学の数学科に通っていて、父も将来を楽しみにしていた。だけれど、父が老いによる異変を生じてから、大学は辞め、父の面倒を見る中で、半ば引きこもりになった。姉のクレアは父の死によって一人になってしまった妹を、自分の住むニューヨークに引っ越しさせて面倒を見ようと思っている。ただ、自分を病人扱いするからか、キャサリンは姉を嫌っている。そして、数学界の偉業という証明は、実は老いた父の面倒をみながら、キャサリン自身が解いて証明したものだった…というお話。

作品初見。全く知らなかったのだけれど、2000年にアメリカで初演され、トニー賞演劇部門と、ビューリッツァ賞を取っているらしい。でも、この年代前後のアメリカのストレートプレイって苦手なんだよなぁ、と、予約した後に作品背景を色々知ってちょっと後悔。先日観た「ラビット・ホール」もそうだったけれど、同じ感じだったらどうしよう…、という予感が的中してしまった。休憩前(1幕?)の前半の速度がとにかく遅くて、2度ほど意識が遠のいてしまった。この手の戯曲は、どうしていつも、1幕前半がたるいのだろう…なんて事を考え出してしまう。

賞を取ってる演劇だからそう見えてしまう…というのもあるのかもしけないけれど。社会的な位置づけも含めた背景が、作品の中からある程度見通せないと、この物語全体が持つ意味、みたいなものがよく分からない。その、少しハイレベルな視点が十分表現されていないのでは?という気がした。今回観た上演、私には、父と娘の家族の様子に留まって観えていたけれど。ひょっとしたら基の意図は、父の苦悩とそれを支えた妹、を主眼に描いていたんじゃないか…という気もしてくる(え、私だけ見えなかった?)。観終わった後に思いかえして気付くくらいなので、少し高い視点の意味って何だろう…とかまでは、全然想像に至れてない。賞を取ってる作品でなければ、つまらない、と一刀両断してそうだけれど、取ってるがゆえに何か意味が足りない、みたいな事を強烈に感じた。

加えて、キャサリンが証明した数学の問題が、一体どういうものなのか、観ていて現実味が無いのも気になる。Wikipediaの作品のページをみていると、ちょこちょこ数学用語が登場するけれど、原作にはどの程度、その「証明」の内容が記載されているのだろうか。少なくとも、あのノートに数式が書かれている様には私には思えなかった。