<観劇レポート>山田ジャパン「不安の倒し方について」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 山田ジャパン「不安の倒し方について」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 山田ジャパン |
題 | 不安の倒し方について |
脚本 | 山田能龍 |
演出 | 山田能龍 |
日時場所 | 2022/03/17(木)~2022/03/27(日) 新宿シアタートップス(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2008年旗揚げ。独特のコメディー感と哲学感で構築された演劇を数多く発表し続けている。
劇団の主宰であり、2019年にはNetflix配信『全裸監督』の脚本を手掛けた演出家・山田能龍を筆頭に、いとうあさこを始めとする個性豊かな劇団員が名を連ねる。
旗揚げ以来、毎年のように新作を生み出し続け、2012年『盗聴少年』にて大阪進出を果たし、2018年〜2019年に渡り『消去!魔法の絨毯!』『9でカタがつく』『HEY!ポール!』(再演)と三連打公演を成功させ、劇団結成10周年を迎えた。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
人は――いつも不安だ。
もちろん平静は装っている。悪くない、捨てたもんじゃないと思える時もある。しかし奥底ではいつも揺らぎがあり、心の中であの“不安祭り”が開催されてしまう。
「わたし煙たがられてる?」「ムカつくけど…これ言うと叩かれちゃうかも」「恋愛経験少ないのバレた?」「大したことないやつだと思われてる」「お金どうしよ」「いつまでコロナ?」「この先の人生どうなるんだろ」「自信ない」「もう手遅れかもな」
大きなものから小さなものまで、祭囃子は様々。
老いること。若すぎること。男であること女であること、そのどちらでもないこと…と時代に合わせること。キリがない。程度の差こそあれ人はとにかく不安で、人生はそれを払拭し続けるマラソンレースと言えなくもない。
この物語は、そんな不安への挑戦である。不安を練り込んだ生地でパンを焼けば、きっと美味しい物語がふっくら焼きあがる…この例えは鼻につくんじゃないだろうか?やたら気に入ってると思われるんじゃないだろうか!あーまた始まった!とにかく不安だ、不安だーー!!!
山田ジャパンが時代に挑む、不安解消コメディ。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年3月17日 19時00分〜 |
上演時間 | 130分(途中休憩なし) |
価格 | 6800円 全席指定 |
チケット購入方法
カンフェティで座席指定して予約・決済しました。
セブンイレブンで予約バーコードを出してチケットを受け取りました。
客層・客席の様子
男女比は、1:99。
20~40代の女性が中心でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・シリアス
・会話劇
・考えさせる
観た直後のtweet
山田ジャパン「不安の倒し方について」130分休無
劇団初見。女性多めな客席で場違い?って心配したけど。割とガチな会話劇で面白かった!集団の中で本音を言うってどういうことなのか?とか。タイトルの通り不安との付き合い方、大人になり方とかサラリと語ってて。とてもいい作品だった。超オススメ! pic.twitter.com/B2sNYT88A4— てっくぱぱ (@from_techpapa) March 17, 2022
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
劇団初見。客席に着くと、観客の女性が99%で驚き。…ひょっとして、オジサンには場違いなところに来てしまっただろうか…と一抹の不安を感じるも、杞憂だった。コメディな要素を交えた、基本はストレートな会話劇。かなり面白かった。
ストーリー。キャンプ場の共用スペース。仲間内ではじめた会社の慰問旅行…とは名ばかりの、社長が「俺か金出すから、みんな来い」なパワハラすれすれな押しの強い社長が半ば強制的にやってる旅行。会社の旅行なのに、社長が気になってる取引先のきゃぴきゃぴした女がいたりして、古参の女性は不満顔。みんな、何とか人間関係を壊さないように…腫物を触るかのような関係が続く。その会話のやり取りを、隣でテントを張った、会社で傷心してキャンプに出た男と、心理学を研究している夫婦には、嫌でもその痛々しい会話が聞こえてきてしまう。この会社の面々は、仲良くキャンプを終えれるのか。傷心の男の傷は癒えるのか…と強引にまとめてしまうとこんなお話。
集団の中にいて、関係を、壊さないように、壊さないようにと、気を使ってここまで「持ってきた」会社。それぞれの想いはかなりすれ違ってしまっているのだけれど、それを言い出す機会もない。たまたま隣のテントで聴き耳を立ててしまった3人が、気がつくと、その関係の中に割り込んでいく。
かなりコメディなテイストを交えているので、本来的には観ていて痛々しさがあるシーンなのに、どこか笑いも込み上げてきてしまう。集団の中で本音と建前を使い分けることのシンドさ。大人になる時に、ホンネの部分を隠す事から始めてしまったトラウマ。そんな、何気ないけどヒリヒリした感情が、丁寧な会話で描かれる。
人間の嫌な部分にどんどんと入り込んだ後、爆発的な感情でその関係をぶち壊していくのは、どこか「劇団晴天」や、青年団系の会話劇を思い起こす。いとうあさこをはじめとする、一癖も二癖もありそうな女優さんが多く、演劇好きな男性にとって割と「好みのストライクゾーン」をいってる気がするのに、どうして客席が99%女性なのか、小首をかしげる(イケメンな俳優さんも多いけれど)。登場人物が多いのに、それぞれのキャラクターが際立っていて、全ての人を思い出せる。その分、シアタートップスの間口の狭さが気になってしまった。もう少し広い所で観たいな、という気もした。
配役表がなかったので、役者さんの名前が間違っているかもしれないけれど…気になった役者さん。羽鳥由記と、横内亜弓の2人の掛け合いが面白い。矢部昌暉、ラスト近く、みんなのホンネを暴露していくシーンが印象的。西雲アキラ、あの存在感はなんだろう。森一弥の、登場の仕方が毎回面白い。たぶん…今井海斗、矢部昌暉と二人で語り合う短いシーンは、とても説得力があって記憶に残った。