<観劇レポート>劇団水中ランナー「つぎはぎ」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団水中ランナー「つぎはぎ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団水中ランナー |
回 | 劇団 水中ランナー第十二回公演 |
題 | つぎはぎ |
脚本 | 堀之内良太 |
演出 | 堀之内良太 |
日時場所 | 2022/05/18(水)~2022/05/22(日) サンモールスタジオ(東京都) |
団体の紹介
団体の紹介は見当たりませんでした。
過去の観劇
- 2021年07月03日 劇団水中ランナー「5秒ぐらい死んでもいいかなって思った事がある」
- 2021年02月21日 劇団水中ランナー「先の綻び」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
ー第14回杉並演劇祭大賞受賞作ー
新たなキャストで描かれるそれぞれの家族の形
ある男が書類にサインする。それを見守る人々。
幼少期を共に過ごした者たちが織りなすつぎはぎの物語。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年5月18日 19時00分〜 |
上演時間 | 110分(途中休憩なし) |
価格 | 4000円 全席自由 前半割 |
チケット購入方法
劇団のホームページからのリンクで予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。様々な年代の人がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・考えさせる
観た直後のtweet
劇団水中ランナー「つぎはぎ」110分休無
ここ2作大好きだったので期待値を上げすぎたか。手に合わなかった。物語上とても大切な事に全然現実感が無いのが辛い。周囲が対立してもどっちもどっちというか、双方に感情がついていかなくて。物語の時制の仕掛けが最後にわかったけど…私が鈍感なのかも。 pic.twitter.com/VufC2NITls— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) May 18, 2022
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
自分なりにまとめたストーリー
子供時代を、児童施設で過ごした面々。大きくなって、それぞれの生活を営んでいるけれど。あるきっかけで、その児童施設で共同生活を営むようになる。児童施設で育って、その後結婚した二人のうち、英二が不治の病に侵されて、余命半年もないという。治療を拒んで、最後の時間をかつての仲間たちと過ごす事を選んだ、英二。妻のお腹には、新しい命が宿っている。その事を、取材に来た作家の視点で描いた作品。
感じた事
ここ2本、自分にはとても作品がハマったので、気になっている劇団水中ランナー。今回も!…と期待値をかなり上げてしまったのが悪かったのか、全く手に合わない作品だった。緻密に作られた、児童施設の台所と居間。そこに描かれる、奇妙な共同生活の様子。
物語の中で、英二が(不治とはいえ)緩和などの治療を拒んで、思い出の家での共同生活を選ぶ。それを受け入れようとする妻と友達。その事を受け入れられない友達と作家。人生最後の時の過ごし方の選択の、対立構造のようなものが描かれるのだけれど…。どういう類の病気にかかっていて、どうして治療を選択しなかったのか…要は、病名含め、病気に対する現実味が全く無くて、対立構造のどちらにも与することができなくて困る。
ガンだったら?、遺伝子の病気だったら?、など、自分の中で、具体的な病気を当てはめて考えて観る。それぞれで「取り得る選択肢」が変わってくるように思うのだけれど、そのあたりが全く描かれず、一向に感情移入できない。あるいは、極端な二択じゃなくて、思い出の児童施設で過ごしながら在宅医療で治療を受ける…とかの選択肢があったんじゃないのか?なんて事を思ってしまうが、病名が分からないので、その想像が正しいのかも分からない。あるいは「不治の病」は、ある種のメタファーなのかな…と考えて観るのだけれ、どうまくいかない。この部分、病気の現実味の無さが強くて、とにかくしっくりしない。
親に捨てられたり、様々な事情があって、幼少期を過ごした場所。そこに、大人になって、各々が戻ってくる…、という設定は意味深で面白いのだけれど、時折、過去・未来を行き来する物語は、「どうしてこの施設に戻ってこようと思ったのか」という大事な行動の意図や思いがほとんど語られず、既に仲間が戻ってきている所から話がスタートしてしまう。実は「戻ろう」と思う過程こそを、観ている側は知りたいように思うのだけれど(回想でもなんでも)、そのあたりは殆ど描かれていないので、「そういう不思議な場所がありました」というお仕着せのテーマに見えてしまって辛い。
ラスト、時折挟まれる「別の時間」の話は、未来から過去を振り返った視点、お腹の中の子供が、大きくなった時の未来からの視点であることが分かるのだけれど…途中、行ったり来たりする時制の切り替えが、どうも上手く理解できてなかった。ラストで、あっ、と合点はしたものの、ひょっとしてこんな大事な事に気がつかないなんて…私鈍感かも…なんていう風に思ってしまう。現実的なセットを組み上げている分、時間の変化を表す要素の演出がもう少し明確になっていないと…何を意図した「別の時間」なのか、イマイチ理解ができなくて困ってしまった。