<観劇レポート>第27班「ハヴ・ア・ナイス・ホリデー」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 第27班「ハヴ・ア・ナイス・ホリデー」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 第27班 |
回 | 本公演‐14‐ |
題 | ハヴ・ア・ナイス・ホリデー |
脚本 | 深谷晃成 |
演出 | 深谷晃成 |
日時場所 | 2022/07/07(木)~2022/07/18(月) こまばアゴラ劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
現主宰の深谷晃成が2013年に「第27班」として演劇ユニットを旗揚げ。のちに劇団化。現在は7名で活動中。
2013年8月 SAF学生演劇祭vol.7にて短編作品として初の最優秀賞を受賞
2014年3月 道頓堀大阪学生演劇祭vol.7にて最優秀賞、ダンスパフォーマンス賞、ザ・プラン9賞等計5部門受賞
2018年6月 本公演8つめ「コーラボトルベイビーズ」にて初の下北沢進出
2019年3月 「平成の群像劇団」だった第27班平成最後の作品「蛍」を上演
2019年8月 MITAKA "Next"Selection 20thに参加。三鷹市芸術文化センター星のホールにて、「潜狂」を上演する。
2020年 若手演出家コンクール2019年度にて、主催の深谷晃成が最優秀賞を受賞する。
現在、長編作品を上演する<本公演>と「安い、近い、多い」をコンセプトに1つのステージにて30~1時間程度の中短編作品をグループに分け上演する<キャビネット公演>の2つの公演を企画。
過去の観劇
- 2022年03月29日第27班「下品なジョン・ドー 笑顔のベティ・ドー」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
飲むと老化が止まる薬が開発されました。
病気や事故で死ぬことはあっても老衰することはありません。今の若さをずっと生きることができます。
この国では過疎化した地域に移住する若者に限り、その薬を買うことができます。
永遠を望む若い人々が地方の小さな村に集まってきます。この世に生まれたみなさま。どうかよい休日を。
いのちと、じんせいと、あいのぐんぞうげき。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年07月07日 19時00分〜 |
上演時間 | 120分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 前半割 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ページからのリンクで予約しました。
当日Suicaで決済しました。
客層・客席の様子
男女比は7:3くらい。
40代upの男性が目立った客席でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・会話劇
・考えさせる
観た直後のtweet
第27班「ハヴ・ア・ナイス・ホリデー」120分休無
不老不死の薬が手に入る限界集落のお話。ふたつの話が混じり合う感覚。ラジオ局の話はよくあるかなと思ったけど。もうひとつの題材が意外。30歳の制服デートでも同じようなテーマだったので、こだわりがある題材なのかなと思い。面白かった。オススメ! pic.twitter.com/jXQp4vBns2— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) July 7, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
細胞の老化を遅らせる…不老の薬が発明されて。少子高齢化対策?と過疎対策で、政府によって決められた過疎の村に住む人だけに、服用が許されることに。様々な思惑を持って日本中からその村に移住してくる人々のお話。その中で特に、二つの物語にお話に主題が当たって。一つは、借金を踏み倒しに踏み倒したミュージシャン。村のラジオ局を占拠して、ギターを弾きが足りながら曲を流している。同じく移住してきたタクシー運転手と、宇宙旅行の実現を待つダンサーとのかかわりの中で描かれる苦悩。もう一つは、不妊治療が上手くいかず、「若い期間」を長く持って、不妊治療に取り組んでいる夫婦。どうやら同じように、不妊治療中のカップルがこの村に来て、子供を授かったら村を離れる…というケースが多い様子。ミュージシャンは自殺し、薬に不妊を促進する影響があることが噂される事をきっかけに、夫婦は離婚する。そんな様子を知ってか知らずが、不妊治療中の妻が育てている花壇にやってきたハチが、自らの生を全うしようとする様子と。移住者の世話をする、どこかアンドロイドのように無機質な公務員の女性の姿と共に描かれる、群像劇。
過疎の村にだけ薬が許されるというのと、自らの人生を長く設定する事で、生きる意味を見失ってしまった…と思われるミュージシャンの自殺。このふたつは、割と「どこかで聞いたような設定の話だな」と思う。不老を手に入れても、長く生きることが必ずしも幸せとは限らない。そんな様子は、過去のSFの面影の中から、何となく想像できるものの。
不老の薬を飲んでいる間は老いないので、その時間を利用して不妊治療・・・妊娠を待つ・・・という物語の飛び方は、私の想像の中には全く存在しなかったので、その設定だけでも驚いた。夫は、隣に引っ越してきた女に下心の表情を抱いたりしながら、むしろ「間延び」してしまった不妊の期間が2人の心を蝕んでしまっているのが、痛くて仕方ない。何も考えずに、子育てに邁進するハチの様子と対比しながら、二人の別れに至る様子が描かれる。そして、村に移住する役所の係員は、どこか感情を持ち始めたロボットのようで、不老なのに「生きよう」としている夫婦との対比が、更に強調される。
どうして不老の薬が、不妊を促進してしまうのか。ラストのシーンでそれらしき説明があって。それは一応、納得できるものの。SF作品だし、実際のところどうなんだろう。生を授かるために、時間を止める・・・ような感覚の、人としての切実さと、反面、どこか生物的な不気味さが、印象に残る作品だった。
深谷晃成の作品をみ出してまだ歴が浅いけれど、昨年観た「30歳の制服デート」という作品が「不妊」を扱っていた作品で印象的だったので、特に関連するお話、という訳でもないのだけれど、観ながら思い出す。