<観劇レポート>劇団どろんこプロレス「スクラップ、燃やす」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団どろんこプロレス「スクラップ、燃やす」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
劇団どろんこプロレス
「スクラップ、燃やす」
構成・演出 うんこ太郎
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団どろんこプロレス |
題 | スクラップ、燃やす |
構成 | うんこ太郎 |
演出 | うんこ太郎 |
日時場所 | 2022/07/17(日)~2022/07/18(月) APOCシアター(東京都) |
団体の紹介
劇団Twitterにはこんな紹介があります。
どうも。劇団どろんこプロレスです。社会人劇団です。何が社会人かって定義はまぁ、まぁいわゆる社会人です。えぇえぇ。でも我々はおもしろい。お見知りおきをよろしく。
事前に分かるストーリーは?
ストーリー記載を見つけられませんでした。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年07月17日 13時00分〜 |
上演時間 | 135分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団Twitterにあるリンクから予約しました。
当日受付で、現金でお金支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。様々な年代層の客がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・シンプル
・キャンプ
観た直後のtweet
劇団どろんこプロレス「スクラップ、燃やす」135分休無
やっと観れたよどろんこプロレス。面白かった!演劇自体をテーマにするのはよくあるかなと思うも。キャンプしつつのシュールな問わず語り。会話が変なのに何故か自然で引き込まれる不思議。時に黒子の横で見てる彼が効果的だった。超オススメ。 pic.twitter.com/Zxoaze249u— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) July 17, 2022
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリー。劇団のみんなで恒例のキャンプ。テントを組み立てる。脚本の寝屋川君は今回も来ない。今回のキャンプには、みんなが心に引っかかっているモノを持ってきて、火にくべてその思いを断ち切る、ちょっとしたイベントも。徐々に集まってくる仲間や知り合いたち。お互いに知らない者同士もいて少しずつ打ち解けると、それぞれの想いを語り出す。そして夜も更けて朝が来る。友達が来たのは、夢か現か。劇団、今後はどうするのか。テントをたたみながら、主に「演劇」について、割り切れない思いを語る物語。
評判は耳にしているも、土日のみ公演が多くて観に行けてなかった劇団どろんこプロレス。やっと観れた。作演のうんこ太郎をはじめ、劇団の名前と役者の名前が、ちょっと口にするのをためらうような名前ばかりだけれど。・・・評判通り。そんな「尖り」とは裏腹に、演劇としては硬派で、緻密で、面白い。基本はドストライクで緻密な会話劇。・・・といっても初見の劇団なので、毎回こういう作風かどうかは分からないけれど。
テーマは「若いころから拘ってきたものへの想い」。そして「演劇とのかかわり方」だろうか。夢なのか現実なのか分からないキャンプの参加者が、それぞれの想いを火の前で語り、思い出の品を火でくべていく。後半の、キャンプファイアーでの自分語りがメインなのだけれど、そこまでに明かされている個々のキャラクターが強烈。配役表に目をやると、うんこ太郎は「脚本」ではなく「構成」と書かれている。ひょっとすると、実際に演じている役者の現実の話もある程度混ざっているのかもしれない。そんな、虚実を曖昧にする中で、独特な現実味を感じさせる話でもある。
そんな、現実と虚構を曖昧にしているからなのか。あるいは、劇団どろんこプロレスの特徴なのか分からないけれど、会話が鋭い。劇団の仲間内を描いた会話劇だから、実際にその場にいたら、ちょっとした会話で、ニュアンスみたいなものも含めて伝わるのだろうけれど。それが舞台上でも成立していて、かつ、観ている観客にも、関係の中にある「フワフワした意味」が自然と伝わってくる。・・・私が気してしまう脚本家は、必ず備えている事だけれど、どうにも「うんこ太郎」なんていう名前からは想像が出来ない程に会話が繊細で、それを演じる役者も自然体なのが、テーマより前に何よりも印象に残る。
そして、テーマ。「演劇に対する想い」「演劇で演劇を語ってしまう」というのは、演劇あるある。最近私が観た作品だと、モダンスイマーズ「だからビリーは東京で」なんかが記憶に新しいけれど。社会人劇団ならでは…なのか。演劇を続けることへのモチベーションの会話が、とにかく生々しい。
演劇へのモチベーションの源が、いつしかズレてしまっているけれど、かといって積極的に「演劇」を手放すわけでもない。速度を保ち続けるためには、必ず先に進む動力が必要・・・という「醒め」を隠せない正直な思い。「演劇」で生計を立てていけるわけではない、立てていきたいわけでもない。主役の3人・・・そしてその3人の今の想いを横から見て、まるで脚本にしたためているかのような寝屋川の構図を含め、生々しい・・・ひょっとしたら「実際に起こった事しか書けない」という台詞の通りの実感の表現が、とても印象的だった。