<観劇レポート>東京学生演劇祭実行委員会「東京学生演劇祭2022」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 東京学生演劇祭実行委員会「東京学生演劇祭2022」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 東京学生演劇祭実行委員会 |
題 | 東京学生演劇祭2022 |
日時場所 | 2022/09/01(木)~2022/09/04(日) 王子小劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
関東圏の学生団体による演劇祭。
「学生主体の演劇祭」を掲げ、
今年度は全9団体で開催します。
事前に分かるストーリーは?
学生による学生のための演劇祭。
A,B,Cブロック、各3団体による上演のようです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
ブロック | Bブロック |
観劇日時 | 2022年9月1日 19時00分〜 |
上演時間 | 140分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
CoRichで予約をしました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらいで若干男性多め。学生っぽい人が多かったです。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・オムニバス
観た直後のtweet
東京学生演劇祭実行委員会「東京学生演劇祭2022」Bブロック。140分
3団体の公演を、10分の休憩を挟みながら各40分ずつ。
Bは、以下の団体の作品。楽しめました。
・みちばたカナブン「朝になったら」
・娑婆駄馬「Alba」
・四日目四回目「うにこん」 pic.twitter.com/tGxz1Aqxpe— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) September 1, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
学生が運営している、学生劇団の演劇祭。大学の劇研ではなく、学生が自主的に結成している小規模な団体がメインで参加している様子。拝見したのは、Bブロックの3組。40分ずつ3団体。それぞれの作品の感想をメモしておく。
みちばたカナブン「朝になったら」
作・演出: 渡邉結衣
田舎に近い、ベッドタウンな町のコインランドリー。もう深夜に近い時間。たまたま居合わせた、男二人、女一人。気がつくと取り止めもない会話をしている。コインランドリーを動かす技。「かまくら」に住んでいる都会勤めの若い人の話。どこからともなくやってくるねこを追いかけてみる。そして、町の昼・夜を司る、ちいさなおじさんとの出会。淡々と描かれる3人の、不思議な時間のお話。
別役実っぽい不条理劇な感覚。ベッドタウンな町だけれど、どこでもない場所。どこでもないコインランドリー。3人に共通するのは、明日が来て欲しくないこと。シャッターを閉めたい事。どこか、明日を拒絶するためにあがきながら、その場で遊んでいる感覚。不条理を展開したのみで、何か特別な事が起こる訳では無いのだけれど。「明日、学校・仕事行きたくないなー」の日の、夜更かししたいあの感覚を再現された、そんな風に感じた。面白かった。
娑婆駄馬 「Alba」
作・演出: エレナ・ファノラキス
持ち主に可愛がられ、そして忘れられてしまった人形。物置の奥底で静かに待っていたら。やってきたのは宇宙人。・・・単一の生命体ではなく、あらゆる生命体を「融合」して、一つになった、集合意識として生きる、宇宙人。地球人は、既にその宇宙人に「融合」されて、人形の持ち主も「融合」されていた。無生物だからと融合を拒む、地球に送られてきた宇宙人の一部。人形に話しかけると、何かを感じずにはいられずに、苦悩が始まってしまう・・・という物語。
人間が、集合意識に融合した後、自らが「思い出」を持つ存在に出会ったら、どんなお話が展開されるのか・・・というお話、なのかな。ふと、スタートレックTNGの、ボーグのような生命体を思い出す。人形と宇宙人。若干ステレオタイプなフェノタイプではあるものの、人形と宇宙人、二人の織りなす空気感が魅力的。おそらく宇宙人には、既に人形を愛おしんだ少女の記憶も融合されていて、それ故、人形を愛おしむ感情が生まれるのかな・・・と解釈したものの、そのあたりの構造が、中々見えにくい。説明すると興ざめしそうだけれど、何がしかの示唆があった方が、途中の葛藤が見えやすかったかな、と思った。
四日目四回目「うにこん」
作 ・演出: 旦妃奈乃
ハイコンテクストで、ストーリーは・・・と問われると、書き下すのが難しい。キーワードと感じたことを追いかけて書いてみると。物語はたぶん、高校生。いろいろと、つらつらと、取り留めない話をしているも。「しゃべるウサギ」が、前世で見た「ウニコン」という、角の生えたいきものの記憶の話と。制服を変えたい。自由にしたい学生たちが、生徒会のカタブツと闘うお話。
全体的にコミカル。ハイテンションに喋りつつ、体をバタバタと動かしながら語られる物語。制服を変えたいお話だからか、殆どの出演者が、よくある学ランをベースに、大胆に切り込みを入れアレンジした制服を着ている。これがお洒落で観ていていろいろと気になってしまう。制服を変えたい思いは、気がつくと暴力につながり。また、しゃべるウサギが前世で見た「ウニコン」は、太古の昔?のはずなのに、戦車のイメージに繋がっていく。途中、エヴァンゲリオンの使途にいそうな覆面の男に襲われながら、制服を変える一環として、ジャケットを脱ぐ。ラスト。「この物語には暴力的な要素が含まれています」(うろ覚え)。制服を勝ち取るための闘争と、ウニコンの戦車のイメージは、暴力的なもののイメージを内包しているのだうな。作品自体は、暴力を、肯定も否定もしていないように感じたけれど。制服を勝ち取るにも、そこにある「暴力性」みたいなものとは無縁でいられない。そんな事を言いたいような作品に思えた。
私は、この手のハイコンテクストさを持つ作品が苦手で、大抵、観ると拒否反応を示す。だけれど、前回観た「ツインテール・ドールハウス」同様、ある種のお洒落感と、鋭い言語感覚、そして、今回は体を動かしてのコメディな要素も加わって、表現として観ていて面白い。ハイコンテクストでも、飽きない。今後どんな作品を創っていくのかな、というのが楽しみという印象を、今回の作品に対しても持った。