<観劇レポート>劇団ミックスドッグス「鏡の仮面はブラフにて」

#芝居,#劇団ミックスドッグス

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団ミックスドッグス「鏡の仮面はブラフにて」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名劇団ミックスドッグス
'22 Winter stage
鏡の仮面はブラフにて
脚本奥田悟史、小田島凜
演出奥田悟史
日時場所2022/12/07(水)~2022/12/11(日)
中板橋新生館スタジオ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団ミックスドッグスは、2011年2月、作家・演出家の奥田悟史により、東京理科大学・劇団ポコポコの同期と結成されました。間もなく、10周年を迎えます。

活動指針は「どんなときでもあなたを元気に!」。人間と物語と演劇の力を信じたストレートプレイを追求し続け、ジェットコースターのように展開する戯曲、鮮やかな照明、心揺さぶるロックサウンド、ハキハキ喋ってガシガシ動く熱量高い演技を武器に、音楽、映画、SNS、ネット配信など多様化するエンターテイメントに対抗できる演劇を目指しています。

劇団名は雑種犬を意味します。「血統書の無い演劇界の隅っこスタートの僕らだけど、新たな血統と認められるくらいのし上がろう!」という野心と、「個性を掛け算し、持ち前の愛嬌で世界に笑顔を!」という願いが込められています。

現在、劇団員の中で旗揚げメンバーは奥田1人になりました。けれども、新たな仲間に恵まれ、この度、次なる10年の目標を決めました。

「動員100万人の劇団になる。」

……みんなで決めた、どうしようもなく壮大な目標。愛と夢のパワープレイ劇団として、希望しかない未来を全力で駆け抜けようと思います。
何より、あなたの応援が不可欠です。是非一度、僕らの公演にお越しください。どんなときでもあなたを元気にします。それでは、劇場でお会いしましょう!

2020年9月22日
作家・演出家・劇団代表 奥田悟史

劇団ミックスドッグス

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

探偵、 山守猛(やまもりたけし)は動揺していた。己の推理力の無さにではない。確かにこれは怪事件だ。
依頼人は 篠崎優(しのざきすぐる) 、怪しげな科学者。鏡の向こうの並行世界で、もう一人の篠崎が姿を消したらしい。
どんな依頼も断らない、わきまえのなさが己の武器だ。例え、推理力はきなこに劣るとも。きなこが事務所に居つく猫だとて。 問題はもう一人の自分だ。鏡の世界の名探偵、超推理力を武器に、ニヒルに、クールに……奴の失踪で他人事ではなくなった。鏡写しの表と裏、片方だけでは生きられない。
いざ、鏡の向こう!名探偵になりすまし、奴の足取りを追いかけて……言葉を喋るきなこ?生まれ持った魔力?すり替わった篠崎?えっと、俺はどっちの俺だっけ??

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年12月10日
14時00分〜
上演時間110分(途中休憩なし)
価格4000円 全席自由

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。様々な年代の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・SF

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

宇宙には、我々の知っている世界と、もう一つの世界がある。その世界は、こちらの世界とは常識が違う。科学より魔力のようなものが支配していて、自然法則も異なる。ある冴えない探偵が、その世界と行き来できる鏡を発明した科学者から、依頼を受ける。鏡の中のもう一人の自分が、こちらの世界に来て逃げ出してしまった。鏡の中の世界に入り、そこにいるもう一人の自分と関りながら、自分とは何か・・・という事に気がつくお話。

ミクドク、もう何作目になるか。この劇団が創る作風は、好きなんだなぁと思う。私自身、公演の週は、他の予定と重なりまくって、今回のミクドクは観れない、と諦めていたのだけれど、突然空いた予定に差し込んだのはやっぱりこの劇団だった。

素舞台が中心。舞台のなかの家具を動かしながら、2つの世界を行き来して、もう一つの世界の「自分」を表現する。ミクドクは、割と舞台セットを組んだうえで抽象的な空間の表現をするケースが多かった気がするけれど、素舞台で解放されている状況で、テンポよく、次から次へと場面が変わっていくのが心地よい。鏡の世界の中にいる、もうひとりの自分・・・を描くために、役者が人格をスイッチさせるのもいい。ミクドクならではの、ポップさ、みたいなのが、今回の舞台では色濃く出て、エンタメな要素が盛り込まれていたのがよかったものの。

困ったことに、物語が、頭に入ってこなかった。鏡の中に、もう一つの自分がいる・・・というのは、割とよく見かける物語の設定。そんなに複雑な事でもないはずなのだけれど、どうにも「今のはどっちの世界の出来事なのか」というのと「(その世界の自然法則から考えると)何がこの登場人物の(解放のための)カタルシスなのか」が、一向に見えない。何気ない指示語・・・「向こうの世界」「こっち」・・・も、段々、どっちを指しているのか分からなくなってくる。役者が、パワーフルでスピーディな展開を進められるだけに、むしろ早すぎて頭の中が一杯いっぱいになってしまって、途中で物語を細かく理解するのを放棄してしまった。

細かいことに拘らなくても・・・、みたいなセリフがあったので、あるいは、客が明確な世界観を認識しなくても理解出来る物語・・・を志向していたのかもしれない。けどやはり、具体的な描写とのバランスがちょっと悪く、感覚的にふわっと、状況を理解しないままストーリーを追うのが、難しかった。

役者さん。いつもながらに元気いっぱいの茶トラ猫役の幾世優里と、大家のおばあちゃんにしてはちょっと若いなぁ(笑)と思う、渡邉美玖の目力が、印象に残る。