<観劇レポート>かるがも団地「秒で飛びたつハミングバード」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 かるがも団地「秒で飛びたつハミングバード」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | かるがも団地 |
回 | 第6回本公演 |
題 | 秒で飛びたつハミングバード |
脚本 | 藤田恭輔(かるがも団地) |
演出 | 藤田恭輔(かるがも団地) |
日時場所 | 2022/12/15(木)~2022/12/18(日) OFFOFFシアター(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
団地って、ちょっと不思議な空間です。
隣の部屋にはちょっと変わったおにいさんが住んでいたり、
下の部屋には長年連れ添った老夫婦が静かに暮らしていたり、
上の部屋は大家族で、いつも子供の足音が響いていたりします。1階の若い女性はもしかすると売れない画家かもしれないし、
3階のキノコ頭の青年は、メジャーデビューを夢見て
今日もスタジオに通うのかもしれない。みんな他人なんだけど、なぜか同じ団地に帰ってきて、
郵便受けで鉢合わせたら笑顔で挨拶をしたりします。かるがも団地は
「団地のようなあたたかさ、多様性」を合言葉に
2018年に結成された劇団です。劇団だけど、演劇だけにとどまらず、
写真や文章、小物など
いろいろなものをつくっていきたいと思います。
どうぞよろしく。
過去の観劇
- 2023年11月13日かるがも団地「静流、白むまで行け」
- 2022年04月02日かるがも団地「なんとなく幸せだった2022」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
新宿まで電車で70分。山まで車で15分。東京都・青梅市。
ここに、学生時代の国体出場が人生のピークとなったまま齢30を迎える男の子と、ツイてないけど明るく働く女の子がおりました。
青い時間は遥か彼方、地に足つけて生きねばと、今日も元気に打合せ・根回し・報連相。
だけど涙が出ちゃう、人間だもの。
これは、全ての大人になってしまった貴方にお届けする、長い目で見守っておくれコメディ。しんと冷えた冬の朝。まだ来てくれない幸せの鳥。秒で飛びたつハミングバード。$$
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年12月19日 19時15分〜 |
上演時間 | 115分(途中休憩なし) |
価格 | 3200円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団のホームページから予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらい。
様々な年齢層の客がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・シンプル
観た直後のtweet
かるがも団地「秒で飛びたつハミングバード」115分休無
劇団二度目。多分好き嫌い割れるタイプの演劇?かも。私にはこの作風は合わないなぁ。凄く俯瞰した場所から人を見てる感覚があって劇団の作風だと思うも、どうにも悪い意味での不真面目さとか冷たさ、に見える。そんな意図はないんだろうけども。 pic.twitter.com/ClHwcm0tI0— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) December 16, 2022
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
30代前後の男女たち。スポーツで生きていこうとしていたら夢破れ、ふて腐っている男。鳥が大好きだけれど、鳥の研究者にはなれず。教員になりたい訳じゃなかったけれど「保険」で取った教職という人生を歩む女。歯医者になったけれど、日々「流れ作業」のように患者を扱う事になっている事に気がつく女。社会の役に立っていない会社でなんとなく働きつつ、仕事以外の趣味に人生を見出す男。主に4人の男女の人生模様とその交錯を描く作品。
劇団2度目。「なんとなく幸せだった2022」を観た時、おもしろいと思ったのだけれど、同時に、そこはかとない違和感があった(その時の感覚は、感想には書けてなかった)。周りの役者が、心情や状況の解説を、モノローグ的に入れながら、さまざまなシーンを短時間で連ねていくのが「かるがも団地」の作風(少なくとも2作観た所では)。OFF OFFである事を忘れるくらい、物語の展開というか「広がり」みたいなものが出てくる、テンポの良さは上手い。あー、こう言う作風もあるんだなぁ、と思うのだけれど。
前作のような青春の酸っぱさの描写は、この独特な「さっぱりとした、淡々とした語り口」が効果的だなぁと思ったのだけれど。今回の主人公たち・・・30代近くの若者の生き方・・・だと、とても「冷たい」なぁ、という感覚が強い。「なんとなく…」も、実は描いていたのは「青春」ではなくて、そこからだいぶ時間が経った、アラサーたちの状況、だったのかもしれない。私自身、青春の甘酸っぱさにフォーカスして観ていたから、30代の淡々とした感じはあえて無視して観ていたような気もする。要は、今振り返ると、どちらの作品にもどうにも冷たさを感じて仕方がない。
どこか突き放している世界の見方。既に終わってしまった事実を語っているような。あるいは、既に死んでしまった人の事を語っているような。あるいは、セピア色の写真のような。あるいは、神の視点、鳥瞰図的に世界を眺められているような。あるいは、映像作品が「カメラ」という媒体を介する事でどうしても臨場感を落としてしまうような、そんな「現実に起こっている事」との距離感をいやがおうにも感じてしまい、冷ややか、という感情が沸き起こる。演劇なのに、ナマなのに。そんな「冷たさ」を感じ取ってしまう。・・・おそらく、描いている側は、そういう意図ではないのだろうけれど。
あちこちで名前を聞く話題の劇団だけれど、この作風が続くと、私には合わないかも、という気もする。やっぱり、舞台では、あったかい飲み物を出してほしい。そんな事を強く感じながらの2時間だった。