<観劇レポート>Peachboys「立ちバック・トゥ・ザ・ティーチャー」
【ネタバレ分離】 Peachboys「立ちバック・トゥ・ザ・ティーチャー」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | Peachboys |
回 | 第12回公演 |
題 | 立ちバック・トゥ・ザ・ティーチャー |
脚本 | DJ Bokky a.k.a クソ旦那 |
演出 | DJ Bokky a.k.a クソ旦那 with Peachboys |
日時場所 | 2023/04/19(水)~2023/04/23(日) ザ・ポケット(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
Peachboysは2009年11月に下北沢シアター711にて上演された短編集、はらぺこペンギン!『再会』の中の1本をシリーズ化するために生まれたユニット。だが、はらぺこペンギン!の作風とは真逆である。はらぺこペンギン!劇団員の川本喬介こと「KYOSUKE」。はらぺこペンギン!やsmartball、ホチキスなどに客演経験のあるフリーの俳優、荒木拓こと「TAKU」。マシンガンデニーロの所属俳優であり、現在は注目劇団チョコレートケーキなどにも客演している菊池豪こと「GO」。更に、はらぺこペンギン!常連客演である山川恭平こと「KYOKYO」が2013年よりメンバーに加わり、上記4名のユニットとして活動している。作・演出は、はらぺこペンギン!主宰であり、現在、吉本新喜劇や神保町花月などの舞台で脚本・演出を担当、NSC東京で演技講師も務めている白坂英晃。Peachboysというユニット名からも何となく想像できる通り、上演する芝居の内容は、モテナイ童貞男達が女性にモテるように頑張るコメディーを中心とする。毎公演、キャリアのある客演陣を含めた出演者全員が全力で「下ネタ」「アニメのパロディ」「バカ」を演じ切る姿が大きな笑いを生んでいる。観劇後、何も残らないバカ楽しい下ネタ芝居を創造する、ふざけた演劇ユニットです。
過去の観劇
- 2024年04月25日【観劇メモ】Peachboys「ピーチボーイズ」
- 2022年04月02日Peachboys「ちろうに検診」
- 2021年05月19日Peachboys 「半勃ニョッキ」
- 2020年01月25日Peachboys「昇天」
- 2019年04月24日Peachboys「H&ERO」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
ケン・ヨーヘイ・ハヤオの3人は仲良し童貞3人組。
「絶対に好きになった人としかヤッてはいけない」鉄の掟で結ばれた彼らだったのだが、今回、それどころではない事態に直面する!!!
3人の前に現れる、よく知らないおじさんの科学者「毒(どく)」。彼は突如、自身の作ったタイムマシン「ペロリアン」を彼らに見せびらかすのだが、前日に性欲を異様に増大させるクスリを飲んでいたハヤオが暴走!「毒」の腹を自らの股間で貫いて殺してしまう!逮捕され、連行されていくハヤオ。ケンとヨーヘイは「ペロリアン」に乗ってハヤオが暴走する前の時間に戻ろうとするのだが、辿り着いたのは、30年前の1993年!そこで出会ったのは、同じく(当時)童貞のヨーヘイの父「ヨーダ」であった!
現れる!卑猥なダンスを踊るJリーガー!
振り返ると常にいる医者!
そして、春の木漏れ日の中で、赤い糸を大きなイチモツに括り付ける…「高校の先生」!
徐々に体が透明になっていくヨーヘイに迫りくる、スケベでカワイイあの子の存在!
令和5年と平成5年!
果たして童貞3人組は「今からそいつを殴りに」行って、ヨーヘイの父の童貞を捨てさせ、歴史を変えることが出来るのか!?
あと、多分尺的に無理そうだけど、3人組は童貞を捨てられるのか!?
あと、Peachboysは、本当に、ザ・ポケットの広さを使い切れるのか!?
童貞演劇ユニット最新作は、30年に渡る性欲と平成レトロエモエモの物語である!
※今作も2部制となっております。1部は上記のようなお話をやって、2部は突然レビューショーを行います。温かい目でご覧ください。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 1回目) 2023年04月19日 19時00分〜 2回目) 2023年04月21日 14時00分〜 |
上演時間 | 130分(途中休憩なし) |
価格 | 4000円 全席指定 |
観た直後のtweet
Peachboys「立ちバック・トゥ・ザ・ティーチャー」130分休無
話はいつもと同じだよ。当然タイムスリップするよw。この作品上演中、日本で一番おバカな空間がこの劇場だと思うw。それくらいバカ。笑いコロげ過ぎてお腹痛い。嫌な事を忘れるならココ!女優さんの魅せ方上手いの変わらず。超オススメ!! pic.twitter.com/JDVBuQLubW— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) April 19, 2023
Peachboys「立ちバック・トゥ・ザ・ティーチャー」130分休無
当日券でおかわりしてきました(恥)。2度目はもう少し冷静に観れるかと思ったけど無理でした。マリオカートのマップあるの、一度目は気づかんかった。ど真ん中おバカな芝居だけど、2度も観に来る私が、一番バカ。超オススメ!! pic.twitter.com/cyTdEDVQTB— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) April 21, 2023
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
感想というより、雑多な記載になってしまった。つらつらと、思った事を書き連ねてみる。
711からサンモールスタジオを経て、今回は少し大きめの小屋、中野ザ・ポケットへ。毎年一回のお楽しみ。客席に来るだけで、もうワクワクしている自分。客入れ曲は、いつものtrf。Boy meets Girl、それぞれの、あふれる想いにきらめいてる、私。だめだ。ワクワクが止まらない。こんなに渇望しているなんて、自分でも信じられない。
頭の中を、すっからかんの空っぽにしてくれた。観劇した時私は、珍しく煩わしいことに巻き込まれて結構悩んでいたのだけれど、観終わったらもろもろ悩むのが馬鹿馬鹿しくなって、スッキリしていた。それ故、観終わった後のピーチ・ロスが激しくて。ちょうどスケジュールが空いたのもあって、自然と足が向いて"おかわり"、二度目を観に行っていた。気がつくとグッズを買っていた。サントラCDを再生すると「ボクの左のキンタマは、少し大きい」・・・だから何なんだよ!。帰宅してもキンタマソングをヘビロテして、ラストでハモってWe are the Peachboys.していた。
一度目の観劇が終わった後に、TwitterでPeachboysを検索。みんな、見事に内容を何も覚えていない・・・いつもの通りだな(笑)。思えば最初に「H&ERO」を観た時も、同じことを思った。何の話だったんだろう。何を見せられたのだろう。初めての人も、常連の人も、あの訳わからん体験を、思い出せないのに、思い思いに綴っている。
一時期Twitterのトレンド入りしたものだから、私の質問箱に、"某・規格外な公演をする劇団と一緒か?"という質問が来る。ノンノンノン。その劇団は観たことないけれど、演劇としては、めちゃくちゃしっかりしている。しっかりと緻密なな計算をしたうえで、バカのアクセルをベタ踏み。あんなに緻密なキッカケを要する芝居、なかなか無いだろう、・・・なんて事を返信する。とはいえ、内容的に、映像化は絶対に不可能だから、観に行ってもらうしかない。観に行く勇気を振り絞ってもらうしかない。。。。っていうか、普通の芝居なんだから、勇気なんて大そうなものでもないのだけれどサ。
Twitterで何人かが「伝統芸能の域に達している」と呟いていた。正にその通りだよなぁ。宴会芸が昇華して、ついに伝統芸能。・・・私は歌舞伎が苦手だけれど、歌舞伎に「待ってました!」と合いの手を入れた江戸時代の人たちは、Peachboysのようなものを観て、今の私と感情を持ったんじゃないか。そんな歴史的な心の旅まで強いてくる(たぶん勘違いだと思う)。
この芝居、支えているのは、やっぱり女優陣だよなぁというのは、毎度思う。今回は・・・大石ともこの、Wiiフィット?の人が個人的にはツボ、ああいう人いるいる。生粋万鈴のおなじみ浅倉南、いいよなぁ、声そっくりなんだよなぁ。佐藤友のノリピーチ姫、ポヨーンってマリオ音するのが純粋にかわいい。田中彩優希のふわちゃんがかなり完成度高かったなぁ。つつじあゆこの古畑任三郎が、似てないのについ笑って見てしまう。Adoちゃんの永吉明日香、新時代だ!。根本こずえのバブリーW浅野。福永理未の森高は、似てるんだか似てないんだか(笑)。加えて、男優陣。熊野善啓のガーシーとヌートバー(ペッパーミル)。島田雅之の、異様に顔テカテカと壁激突。園田シンジのドンキーコング。三宅法仁のいつもの前説と島田紳助。いつものオムツ?ブリーフ?姿の山田健太郎が、客演した役者を裸で出すことについて説教しているのが、滅茶苦茶面白かった。あと、レビューの最後「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の、魅惑の深海パーティ、ジョニー・B・グッドに落すのは、見事だったなぁ。
・・・この芝居に関しては、内容なんて書いても仕方ないのだけれど、書いておかないと、10日後くらいにはもう忘れているから、少ししてこの文を読み返した時には、有益な情報だろうな(笑)。「エロ」じゃなくて「下ネタ」を、(特に女優陣が)あそこまで思い切ってやられる、それを引き出している演出他の環境づくりが、この芝居の魅力の源泉だろうなぁ、とか、真面目な事を考えてしまう。
ひとつ気になった事。「H&ERO」を初めて観た時、いわゆる元ネタを知らない人に、結構な配慮が見えて、要は「みんなが付いていける」ように作られていた印象がとても強かった。今回は、既に私が元ネタを知らなくても楽しめる体に洗脳されているので、そのあたりが見えにくかった事。それ故、若い人は楽しめたのかなぁ、というのが以前にも増して気になってしまった。
・・・とはいえ、「ドラゴンボールZ」のオープニングの再現、私は元ネタを知らなかったのだけれど、「おそらくこうなんだろうなぁ・・・」と元ネタを逆想像して笑ってしまって、その後YouTubeで元ネタを見て再度笑ってしまう、というへんな道を辿っていた。昭和・平成なら、テレビドラマやCMやゲーム。みんな同じものを知っているから、パロディでそこそこ笑いが取れた。でも令和の今、娯楽が多様化してそれぞれが見ているものが違うものだから、パロディが中々共通認識が得られない時代だけれど。その共通認識さえ破壊してしまうような「面白さ」の提示になっているのかなぁ、そうでもないのかなぁ・・・みたいな事を、「ドラゴンボールZ」のパロディ見ながら、ふと思ってしまった。
2部レビューのラスト、「そろそろ演劇の偉い人に怒られそう」みたいな事を言ってたけれど。心の中では「そんな偉い奴、クソくらえ」だろ(笑)、とも思う。まぁ、権利関係は、ちょっと気になるけれど、怒る演劇の偉い人の芝居なんか、絶対に観に行かねーよなぁ、とか思ったり。怒られたって、なにしったって、僕らの前にPeachboysがあらわれる限り、観に行ってしまうだろうなぁ。来年も楽しみに。