<観劇レポート>MCR「絡め取りプリンセス投げ」
【ネタバレ分離】 MCR「絡め取りプリンセス投げ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | MCR |
回 | ぽけふぇす2023参加作品 |
題 | 絡め取りプリンセス投げ |
脚本 | 櫻井智也 |
演出 | 櫻井智也 |
日時場所 | 2023/09/13(水)~2023/09/17(日) 劇場MOMO(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
MCRは1994年に脚本・演出の櫻井智也(ドリル)を中心として、
当時同じ演劇の専門学校に通っていた数人により結成されました。
コンスタントに年2~4本の本公演を重ね、本公演22回を数えます。
また、本公演以外でも主宰ドリルによるプロデュースユニット「ドリルチョコレート」公演、
第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの最終予選会出場、
各種企画公演への出演等を本公演の間に積極的に行っており、
それらを総合すると年に2~5本、計40余公演を上演しております。
過去の観劇
- 2024年04月26日【観劇メモ】MCR「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)」
- 2023年12月23日MCR 「シド・アンドウ・ナンシー」
- 2023年06月14日MCR「死んだら流石に愛しく思え」最終版(2023年)
- 2022年12月03日MCR「無情」
- 2022年10月23日劇団三日月座「あの部屋が燃えろ」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
「朝、目を覚ます時の気持ちは、面白い」と、あの女学生は言った。
わたしは、そんな気持ちになった事なんか一度もない。
新しい朝が瞼を剥ぎ取ろうとする度に、祈りがどこにも届かない事を知る。
好きな人は総じて嫌いな人になるし、美味しいものは総じてアレルギーになる。
もう寝よう、おやすみなさい。わたしは、王子様のいないシンデレラ姫。
明日もきっと、世界は私に意地悪だ。+++
MCRの新作は、自らの価値を見誤ったまま世界と向き合う女学生が
間違った計算式を武器にして奮闘する、愉快な罵詈雑言が飛び交うおはなしです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年09月13日 19時00分〜 |
上演時間 | 80分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 全席自由 |
観た直後のtweet
MCR「絡め取りプリンセス投げ」85分休無
最初は青春の話のメタファーだと思ったんだけどね。後半トンでもねえ所に連れていかれて正直焦ったわ。やっぱりMCRはいつだって優しいね。先行予約特典がデカくて、日常使い出来そうで嬉しい。堀さん最高。超オススメ。 pic.twitter.com/cnwrwAKuBx— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) September 13, 2023
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
高校生の捺月。朝起きると、違和感。・・・どうやら、不治の病?で、寝たきりのベッドにいるシンデレラが、一日だけ捺月にのり移ったらしい。バスで合流する友達もどことなく違和感を感じて。元の捺月は、堀に興味があったみたいだけれど、海里に気をつかって嫌いになっていたら、ホントに嫌いになったらしい。たまたま堀から告白されたので、つきあい出すことに。水族館に行き遊び倒す。シンデレラは一日しか捺月の体にいられないから。そんな中、シンデレラの親の電話番号を知ってしまった海里は、捺月を呼び出してもらう。寝たきりのはずのシンデレラが動いている事に、どこか苦笑する親たち。シンデレラと捺月がすれ違った、・・・その一日の、物語。
最近、どうにもMCRが好き過ぎて、感想を書くのに難儀している。今回も難しい。正直なに書いたらいいんだろう、って、とても面白かったのに大分悩んでしまった。最近の感想には毎回書いているけれど、この胸を締め付けてくる何かは、MCRって名前でいいんじゃないかという気もしている。まぁ、要するに、あんまり冷静には観れてない。どちらかというと書き殴りに近い感想になってしまうのだけれど。
途中のセリフ「おれがあいつであいつがおれで」じゃないけれど、映画「転校生」みたいな設定が、捺月の側から徐々に明かされる・・・のだけれど。最初は捺月が「まるで自分ではない」とアイデンティティに疑問を持つのは、「転校生」っぽさを借りつつ、ストレートにどこか「自分が自分でないような違和感」を描いている「青春もの」なのかと思うのだが。最終的にたどり着くのが、入れ替わった、元の寝たきりの親との対面。自由な体を得た上での行動・・・っていう意味では、最初に感じた「青春もの」っていう捉え方も出来るし、何なら「ローマの休日」っぽくすらあるのだけれど、やっぱり後半観てしまうと、親同士の対峙のシーンが印象に残ってしまう。
伊達香苗演じる母親と、櫻井智也演じる(おそらくプリンセスの)父親。父親がいなくなって、女手一つで育てた苦労と、男一人(と、日栄洋祐演じる、プリンセスに何らかの近しい人・・・婚約者だろうか)の苦悩の会話が、全然噛み合ってない。終始、決めつけで来る香苗の会話にかなりイライラしている櫻井の立ち位置が何だかリアルで仕方なかった。
・・・観終わった後Twitterを観ていたら、ベースが太宰治の「女学生」らしい。私自身未読なので、あまり類似点まではよく分からないのだけれど。多分いろんな解釈ができるもの語りなんだろうなぁ、とは思う。
役者さん。 稲葉捺月の演技が、冒頭からかなり違和感があって戸惑ったのだけれど。そりゃプリンセスの違和感なのだから当たり前なのか、とラストのところでグッとくる。若月海里、友達の一人だけれどパワフルな演技が印象的。MCR常連の堀靖明、はち切れそうな学ランとは異なり、魅力が弾けて溢れていた。