<観劇レポート>かるがも団地「静流、白むまで行け」
【ネタバレ分離】 かるがも団地「静流、白むまで行け」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | かるがも団地 |
回 | 第8回本公演 マグカルシアター参加作品 |
題 | 静流、白むまで行け |
脚本 | 藤田恭輔(かるがも団地) |
演出 | 藤田恭輔(かるがも団地) |
日時場所 | 2023/11/09(木)~2023/11/11(土) スタジオ「HIKARI」(神奈川県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
かるがも団地って?
団地って、ちょっと不思議な空間です。隣の部屋にはちょっと変わったおにいさんが住んでいたり、
下の部屋には長年連れ添った老夫婦が静かに暮らしていたり、
上の部屋は大家族で、いつも子供の足音が響いていたりします。1階の若い女性はもしかすると売れない画家かもしれないし、
3階のキノコ頭の青年は、メジャーデビューを夢見て
今日もスタジオに通うのかもしれない。みんな他人なんだけど、なぜか同じ団地に帰ってきて、
郵便受けで鉢合わせたら笑顔で挨拶をしたりします。かるがも団地は
「団地のようなあたたかさ、多様性」を合言葉に
2018年に結成された劇団です。劇団だけど、演劇だけにとどまらず、
写真や文章、小物など
いろいろなものをつくっていきたいと思います。どうぞよろしく。
過去の観劇
- 2022年12月19日 かるがも団地「秒で飛びたつハミングバード」
- 2022年04月02日 かるがも団地「なんとなく幸せだった2022」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
静流、ちゃんと生き延びていますか。
新しい土地での暮らしは慣れましたか。
口の悪さは少しくらいマシになりましたか。
自転車のサドルは自分で調整できるようになりましたか。風の噂で、あなたの浮ついた話を聞きました。
へそ曲がりなあなたも、他の誰かを想う気持ちがあるんですね。
失礼だけど、ちょっとにやけてしまいます。ふは。ひとに頑張れって言うのはあまり好まれたものじゃないけど、
あなたを見ていると、なんだかそれでも言いたくなっちゃうんだよね。
頑張るってなんなのか、私もよく分からないんだけどね、静流。かるがも団地5周年企画第二弾。
冬の海街・小田原に流れ着いた派遣社員の、野暮ったい恋(と愉快な仲間たち)の話です。
今更迷ってなんかいないからさ。もうこの一生、やるっきゃないからさ。楽勝だからさ。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年11月10日 14時00分〜 |
上演時間 | 115分(途中休憩なし) |
価格 | 3300円 全席自由 |
観た直後のtweet
かるがも団地「静流、白むまで行け」115分休無
面白かった。一人称での重い挫折と立ち直りと。ただやはりこの団体の作風は、今を語るっていうよりどこか果てしない未来からこの事象を眺めてるような、冷めて、笑いに茶化した感覚が付き纏う。土本さんの最高な演技と、その作風がマッチして。オススメ! pic.twitter.com/5qw35ylann— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) November 10, 2023
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
最近話題になっている、皆が「いい」という劇団の一つ。「かるがも団地」。まわりの信頼している観劇おじさん達が大抵「かるがも、かるがも」と叫んでいるのだから、いい芝居なんだろうけれど。私は今回の観劇で3度目になるが、どうにも肌に合わなくて困っていた。・・・いや別に困る事でもないのだけれど。周りが良いというのに、自分だけ良さが分からないというのはどこか辛い。もう一度だけ観てみよう、観てみて合わなければ止めよう。というのが今回だったのだけれど。
「かるがも団地」の物語は、必死な人を描いているのに、どこかいつも冷めている。ある種青春の必死な生き様を描いているのに、冷めている不思議。遥か未来、何万年も先の人類が、21世紀初頭の若者たちはこんな風に生きていましたよ、とでも語るかのような冷め方。「醒める」というより「冷める」。この冷たさはなんだろうという違和感と、周りの観客たちの絶賛に妙な温度差を感じる。ただ、この種の感想を他で見たことが無いので、私が冷めているというか、私が「冷たい」のかもしれない、などと思う。
3度目の今回、作風は以前感じた事と同じで、やっぱりどこか冷めている。舞台の作り方は巧みだし、場転や主役以外は一人多役で飽きさせない。いい演出なのだけれど。どこか冷めているのは変わらない。所々に入れ込まれる笑の要素でさえ、その冷めを強調する感覚。その事自体は今回も変わらなかったのだけれど。
土本燈子が主演。最近ちょっと注目している役者さん・・・というのもあったのだけれど。冷めている中、冷めないように必死に抵抗しているように、現実の時間線を生きている感覚、とでもいうのか。冷たさに、火を灯しているようにも思える。作風に合う役者さんを、ものすごく選ぶのではないか・・・みたいな事が頭をよぎって来る。いやグルーヴ感が良いのは分かるので、冷たさを消すと、もうそれは「かるがも」から「野がも」になってしまうかもしれないのだけれど。
そんな事もあって、結果的には面白くて。今回では止めずにもう1・2本は様子見てみようかな・・・と思うのだけれど(あるいは迷惑なのかもしれないが)。そんなフワフワした感情をもらって劇場を出た。