<観劇レポート>なかないで、毒きのこちゃん「サモエド」
【ネタバレ分離】 なかないで、毒きのこちゃん「サモエド」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | なかないで、毒きのこちゃん |
回 | マイナス200万パワーズ公演 |
題 | サモエド |
脚本 | 鳥皮ささみ |
演出 | 鳥皮ささみ |
日時場所 | 2023/11/15(水)~2023/11/19(日) 小劇場B1(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
鳥皮ささみ、猪股和磨、田村優依、森岡未帆、森田ガンツ(/猫のホテル)、植田祥平、吉田壮辰、芳田遥の8名による劇団。
野外や古着屋、蕎麦屋、BAR、ツイッターなど劇場以外での公演を得意とし、かわいらしくもどこか毒のある独特の劇世界をハイペースに発表し続けている。
過去の観劇
- 2024年08月09日【観劇メモ】Mrs.fictions「ミセスフィクションズのファッションウィーク」
- 2024年06月20日【観劇メモ】なかないで、毒きのこちゃん 「シャーク・アタック・トルネード・アフタートゥモロー」
- 2023年05月30日なかないで、毒きのこちゃん「もう二度と言えなくなるねおやすみと」
- 2021年05月20日なかないで、毒きのこちゃん 「あの娘みゅ~ん」
- 2019年07月04日なかないで、毒きのこちゃん「MITUBATU」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
メキシコのとある田舎町。マルタは医者にあと3日の命だと告げられる。
体には痛みだって違和感だってないのに、なんなら昨夜だってポップコーン片手にペプシコーラを飲み、歯も磨かず寝てたのに。父親のカルロスと弟のミゲルは大泣きした。恋人のホセ、ホセの相方のチャド、友達のモニカもアレハンドラも大泣きした。職場であるタコス・ショップ『エル・カリート』の仲間にいたっては、号泣しすぎて仕事にならずタコス生地200枚をダメにした。
そう、マルタはみんなに愛されていたのだ。
でも、本当に一番泣きたいのはマルタだ。これは泣けないマルタが本当に泣くまでの、愛と平和とサモエドの物語。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年11月15日 19時30分〜 |
上演時間 | 95分(途中休憩なし) |
価格 | 4000円 全席自由 |
観た直後のtweet
なかないで、毒きのこちゃん「サモエド」95分休無
うわーめちゃ面白かった!笑った!全員メキシコ人。主役のマルタ以外はひとり多役。感情がデフォルメされて喜怒哀楽が極端なメキシコの世界で。どこかマルタだけは日本人みたいで。喜怒哀楽を押し殺した先にあるものが見えた、のかな。超オススメ! pic.twitter.com/XApILlpLfn— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) November 15, 2023
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
今回は、ストーリーを読んで観劇を決めた。日本の劇団で、しかも「なかないで、毒きのこちゃん」なのに、みんなメキシコ人、メキシコの物語らしい。なんとふざけたストーリー。でも、そこはかとなく感じる悲しい雰囲気に、どこか惹かれて観劇。舞台セットは絵にかいたようなステレオタイプなメキシコ。出てくるメキシコ人も、絵にかいたようなステレオタイプ。何だか映画「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~」に出てくるメキシコ人みたいだ。別に馬鹿にしている訳じゃないんだけれど、絵に描いたようにステレオタイプ。プロレスラーもタコスも出てくるし。あとメキシコ人基本笑かしてくれるし。
でも主人公の女、マルタは違ってどこか日本人的な「いい人」。陽気なメキシコ人とは違うし、違法薬物はやらないし。あと三日で爆発して死んでしまうと分かっても、どこか淡々としている。喜怒哀楽をめん一杯、毒きのこちゃん流に表現している周りの人々とは違って、淡々としているようにも、見えるけれど。ラスト、「サモエド」の肉球の臭いにおいを嗅いだら、泣き崩れてしまう。「私、こんな事も知らなかったんだなぁ」と。
一見、馬鹿馬鹿しくもあるメキシコ人の設定。でも、今見ている日常の世界とズレていて、気が付くとマルタにしか感情移入出来ていない自分にも気が付く。あと三日で死ぬ・・・って設定としてはベタベタのベタ、それこそ劇中のセリフ「余命1ヶ月の花嫁」もとい、「余命3日の花嫁」だけれど。そこで感じる、焦りだったり苛立ちだったり、あるいは愛おしさだったり儚さは、結構生々しい。メキシコなんて行った事ないし、タコスなんて久しく食べてないけれど。それでも、舞台に出ている人々を何故か身近に感じる。そんなちょっとエモい芝居だった。
主役のマルタ以外は全員一人多役で、様々なメキシコ人が印象に残ったけれど(不倫している看護師と医師好きだった)。やはり一番印象に残るのは、富山えり子演じるマルタ。同劇団前作の「もう二度と言えなくなるねおやすみと」の井澤佳奈の演じた役もそうだったけれど、透き通った笑顔の女性を魅せる演出、上手すぎるなぁと思い。
あ、そういえば犬の種類の「サモエド」、作品としてはどういう意味だろう。