【観劇レポート】Belasco Theatre「Maybe Happy Ending」
【ネタバレ分離】Belasco Theatre「Maybe Happy Ending」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | Belasco Theatre |
題 | Maybe Happy Ending |
脚本 | Will Aronson & Hue Park |
演出 | Michael Arden |
音楽 | Will Aronson |
場所 | Belasco Theatre(New York) |
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2024年02月14日(金) 19:00~ |
価格 | $120 |
観た直後のtweet
"Maybe Happy Ending" at Belasco Theatre
'25Tony eligible。韓国発ミュージカルで昨年BWに。日本でも二度上演歴有。近未来、ロボット二人の愛情劇。やべえ。英語平易も手伝い最後号泣嗚咽った。4人なのに最高なミュ。話はロボモノの王道なんだけど超絶に愛おしい。転換装置すげえ。超オススメ! pic.twitter.com/ORrrsPpqvn— てっくぱぱ (@from_techpapa) February 15, 2025
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
引退したロボットが住むアパート。隣同士の部屋の、オリバーとクレア。ふたりの物語。充電器を貸し借りしたりしているうちに、反目したりしながらも徐々に親しくなる二人。オリバーの飼い主ジェームズに会うために、恋人のふりをして済州島に行く二人だが、そこでオリバーの飼い主ジェームズはすでに亡くなっている事を、彼の息子から聞かされる。父親の死から立ち直っていない息子は、オリバーにきつく当たり落ち込むオリバーだが、クレアの一言で気を取り戻すオリバー。アパートに戻ると、オリバーとクレアは恋に落ちて、恋人として暮らすようになる。しかし、クレアはバッテリーの寿命が尽きかけていて、どんどん老いていく。お互いの記憶を消去して、忘れる事を選ぶが・・・という物語。
元々は韓国の大ヒットミュージカル。日本でも2度程上演されていて、2024年に満を持してOn Broadway公演。なかなかに長い道のりを経ている作品。
ただ、ストーリーを思い出して書き下してみると、ちょっとまどろっこしい。言ってしまえばありふれた「ロボットの恋愛モノ」で、これまでもこういう話はたくさん観てきた。改めて書き下してみると特別に語るほどでもない・・・、という印象が正直な所なのだけれど。でもこの作品、どういう訳か特別で忘れられない。
とにかくオリバーとクレアの微妙な駆け引きに目が離せない。物語云々というよりも、二人の関係性がどんどん深まるのが観ていて切ない。私が観た時はメインキャストのDarren Crissと、Helen J Shenだったが、旧型でカクカクした動きで融通の利かないロボットのオリバーと、オリバーよりも新しい型のロボットでちょっと冷笑的なクレア。それぞれの演じる役がとにかく可笑しくて、切なくて、気がつくとキュンキュン来ている。ラスト、お互いに記憶を消したのちに、もう一度再開するオリバーとクレア。・・・オリバーの方は実は記憶を消してなくて、クレアとの出会いを「やり直す」くだりは、どこか見ていて「50回目のファースト・キス」みたいだなと思う。ふたりへの愛おしさと、オリバーのいたずら心がたまらなくて思わず涙してしまう。
オリバーとクレア以外の登場人物以外は1人で演じられる。加えて、物語の中で大事な要素、ジャズの曲を歌うシンガーのみ。舞台には4人しか出て来ない。これだけ巨大なプロダクションで、4人というのも珍しいが、他の人を全て一人が演じるのは、結局この物語は「ふたりの世界の中の物語」で、それ以外は極力抑える演出だからだろうと思う。ジェームズとその息子を一人が演じるのも、ちょっとコミカルで面白い。
「The Way That It Has to Be」他の耳に残るいくつか曲と、近未来的な転換の舞台セットとで、次々と展開する舞台。上演時間100分で休憩なし。濃密なふたりの時間と、周りの人間たちを描く。ストーリー的に凄く惹きつけられたわけではないのに、また観たくてたまらなくなる、不思議で切なくてほろ苦い後味の作品だった。