【観劇レポート】Shubert Theatre「Hell’s Kitchen」
【ネタバレ分離】Shubert Theatre「Hell's Kitchen」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | Shubert Theatre |
題 | Hell's Kitchen |
脚本 | Kristoffer Diaz |
演出 | Michael Greif |
音楽 | Alicia Keys |
場所 | Shubert Theatre(New York) |
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2024年02月15日(土) 14:00~ |
価格 | \26992 |
観た直後のtweet
"Hell's Kitchen" at Shubert Theatre
'24 Tony複数受賞作。少女と母と周囲の人々の物語。アリシア・キーズの曲で綴るジュークボックスミュ。いやーつまらねえ。スタオベ拒否。話薄すぎ。役者は感情の動機掴めず演じるの大変じゃないかと老婆心w。歌とダンスと装置は超最高だが。壮大なオナニーかよw pic.twitter.com/7BNfn7SL7x— てっくぱぱ (@from_techpapa) February 15, 2025
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
1990年代前半。芸術家たちが多く住む「マンハッタンプラザ」に住む17歳の少女アリ。バケツの底をドラムのように叩くドラマーたちと出会い、その中の一人ナックと恋に落ちる。別の階リザのピアノの音に惹かれレッスンを受け始める。母親とはいつも喧嘩ばかり。そんな時にナックが警察に連れていかれ、18歳未満と恋に落ちて寝たことを非難され、いろいろと悩む中でピアノの先生のリザが死んでしまう。落ち込むのを見かねたアリの母は、アリの父である別れた夫を呼ぶ。なんだかんだあって元気を取り戻したアリは、ニューヨークの街の中で希望と夢を見る・・・、物語を書くとこんな感じ。
アリシア・キーズの半自伝的な物語を、キーズ自身の曲でつなぐ「ジュークボックス・ミュージカル」。実際にマンハッタンプラザで幼少期に育ったものの、17歳より前にキーズはピアノのレッスンを受けているし、自身を投影しているものの自分語りではないので、「自伝」ではなく「半自伝」的な物語らしい。1990年当時のニューヨークの文化的来な背景、治安なんかも取り込んだ作品だが。
いやはや。物語を書き下せないくらいに「薄い」。薄くて、一つ一つの行動に必然性がない。リザが出てくるのも唐突だし、母との喧嘩、若者ならではの葛藤もステレオタイプ。軽薄な父との関りも、結局何だかよく分からない。よく分からないのに、とりあえず最後に、表現する事への情熱、音楽への情熱として"Empire State of Mind"を歌い上げる。この曲がラストなのはちょっと驚きで、ストーリー的には何も盛り上がらないから、ラストに持ってきましたようにも思える。無理矢理盛り上げて終わる。
2024年のTONY賞の授賞式の、"Empire State of Mind"他の曲の、パフォーマンスが見事だったし、NYに行く前に某評論家が絶賛していたので、急遽別の演目をやめて観た作品だったが、当初から漠然と感じていた通りの「薄さ」に、観ている途中で既に辟易してしまった。1990年代のNYの文化的な背景、青春、人種、そう言った事が織り込まれた作品…にしたかったんだろうけれど、全然そうはなっていない。一つ一つ要素がとにかく薄くて、唐突。劇評を読んでみると、Off Broadwayの頃よりもかなり「ストーリーが整理された」らしいが、いやぁ整理してこの中身の無さは一体何なんだ・・・と思った。そこまでアリシア・キーズに気を遣う必要でもあるのかなブロードウエイ。
TONY賞の授賞式でも披露されていた、"The Gospel"、ラストの曲"Empire State of Mind"など、アリシア・キーズの曲はとてもいいなぁ、とは思う。でも、それだけ。ストーリーの無さが、ミュージカル全てを台無しにしている。